1976年デビューの初代XT500以来のヤマハトレールマシンの伝統を、『Dream/fun/Daily life』をテーマに、基本性能の進化と洗練された新しいスタイルの具現化を高次元で実現している。
新世代水冷4ストローク4バルブの660cc、ボア・ストローク100×84mmのヘッド廻りがコンパクトなSOHC単気筒エンジンを搭載。耐熱強度に優れ軽量なビッグサイズ鍛造ピストンと、鉄スリーブやライナーを持たず冷却性向上とオイル劣化抑止を促進したダイレクトメッキ処理(セラミックコンポジットメッキ)による低圧鋳造シリンダーで構成され、10.0:1の圧縮比から、最高出力35.3kw(48PS)/6,000r/min、最大トルク58.4Nm(5.95kgf・m)/5,250r/minの性能を引き出される。
バルブ駆動にはカムスリッパー部にニードルローラーベアリングを持ち、摺動抵抗負荷を低減するローラーロッカーアーム方式を採用、吸気9.8mm、排気9.0mmと高いリフト化を実現しバルブオーバーラップを短縮、吸排系の最適化や軽量アルミ鍛造ピストンとの相乗効果により、フライホイールマスを低く設定できたことで低中速域での軽快かつ優れたエンジンフィーリングと優れた排ガス性能を達成している。
燃料系にはフュエルインジェクション(FI)を採用。クランク角、吸気圧など10項目のセンシング情報をもとに超小型26ピンのECUで演算し、最適な燃料供給量とタイミングを燃料供給を実現。
インジェクターはガソリン粒子を微粒子化するロングノズル式12孔噴射・高ダイナミックレンジ型に圧力変動を抑えるパルセーションダンパを採用し、安定した燃料供給を可能とすることで優れたドライバビリティと排ガスレベルの両立している。
このほかリターンレス・大気圧センサーレス配管を採用、シンプルな構成でコンパクト化を促進している。
フレームは高速巡航での優れた操安性を引き出すために材質にハイテン鋼を用いて、縦・横・ねじれ剛性の最適バランスを図ったダイヤモンド型。タンクレール部は外径28mm、肉厚1.5mmのパイプ2本で構成され、さらにエンジン懸架をヘッドに1ヶ所、ケース側に4ヶ所の合計5点のリジットマウントとしてエンジンをボディ剛性メンバーに積極的に活用。優れた直進安定性に寄与する高い横剛性値を実現している。
サスペンションには、フロントにインナーチューブ径43mmの正立タイプサスペンションを採用し、44度の切れ角と225mmの余裕のストロークを確保。この大径フォークの剛性とのバランスを図るため、フォークブラケットはアッパー側にアルミ製ダイキャスト、アンダー側にアルミ鍛造と最適部材で構成された高剛性設計としている。
またフォークオフセットは25mm、アクスル側オフセットは35mmとし各部のディメンションとのバランスを図った結果、市街地でも扱いやすい優れた走行安定性とニュートラルなステアリング特性を実現している。
一方リアサスペンションはロッド径φ14mm、シリンダー径φ40mmのショックアブソーバーユニットによるボトムリンク式。使用環境や好みに合わせイニシャル荷重をカムで5段階に切り替えられ、また前傾させて配置することで低重心化と200mmのホイールトラベルと210mmの最低地上高確保を実現。軽量スチール製リヤアームとのマッチングにより、優れたクッション性能を引き出している。
透明ウインドシールド採用のビキニカウルにH4バルブ・マルチリフレクターヘッドライトを組み合わせたフロントマスク、ゴムブーツを廃してインナーチューブを覆う樹脂製プロテクターとしたフロントフォークカバー、フォーク前側はアップ、後ろ半分をダウンとした分割フェンダーなど、フロント廻りに新しい意匠を取り入れ立体的な造形を活かしたデザイン。
フュエルタンクはFI供給のための燃料ポンプ内蔵で、下面をフラットにしてスペース効率を稼ぎ15リットルの大容量を確保、ラジエターシュラウドと一体化したタンクカバー、それに連なるフィット感、グリップ性に優れたニュータイプの表皮を用いて着座時の快適性と足つき性を両立したシートとの組み合わせによりマシン全体のメタル・クォリティ感を強調、アップライトで一体感のあるライディングポジションを形づくっている。
この他の装備としてタコメーターを割愛し、オドメーターからのモード切替で表示される6桁表示のツイン構成トリップメーター、時計、FI系故障自己診断機能をビルトインした液晶デジタル表示のスピードメーターのみとしたシンプルなメーターパネル、盗難抑止機構イモビライザー、キー操作で着脱できるシートとシート下U字ロック収納スペースなど使い勝手に考慮した構成となっている。