水冷4ストローク単気筒の心臓を持ち、前後小径ホイールに強力なブレーキシステムとハイグリップタイヤを組み合わせる、ヨーロッパで高い人気を集めるスーパーモタードスタイルのスポーツマシン、XT660X。
新世代水冷4ストローク4バルブの660cc、ボア・ストローク100×84mmのヘッド廻りがコンパクトなSOHC単気筒エンジンを搭載。耐熱強度に優れ軽量なビッグサイズ鍛造ピストンと、鉄スリーブやライナーを持たず冷却性向上とオイル劣化抑止を促進したダイレクトメッキ処理(セラミックコンポジットメッキ)による低圧鋳造シリンダーで構成され、10.0:1の圧縮比から、最高出力35.3kw(48PS)/6,000r/min、最大トルク58.4Nm(5.95kgf・m)/5,250r/minの性能を引き出される。
バルブ駆動にはカムスリッパー部にニードルローラーベアリングを持ち、摺動抵抗負荷を低減するローラーロッカーアーム方式を採用、吸気9.8mm、排気9.0mmと高いリフト化を実現しバルブオーバーラップを短縮、吸排系の最適化や軽量アルミ鍛造ピストンとの相乗効果により、フライホイールマスを低く設定できたことで低中速域での軽快かつ優れたエンジンフィーリングと優れた排ガス性能を達成している。
フレームは高速巡航での優れた操安性を引き出すために材質にハイテン鋼を用いて、縦・横・ねじれ剛性の最適バランスを図ったダイヤモンド型。タンクレール部は外径28mm、肉厚1.5mmのパイプ2本で構成され、さらにエンジン懸架をヘッドに1ヶ所、ケース側に4ヶ所の合計5点のリジットマウントとしてエンジンをボディ剛性メンバーに積極的に活用。優れた直進安定性に寄与する高い横剛性値を実現している。
脚廻りではフロントはホイールトラベル量やセッティングなど専用設計・φ43mmパイオリ製フロントフォークに17インチ小径ホイール、そしてφ320mm大径フローティングマウントディスクに初期タッチと耐磨耗性に優れた焼結パッドを用いるブレンボ製対向4ポットキャリパーブレーキを組み合わせ、クイックなステアリング感覚と強力かつコントローラブルな制動力を実現。
リアには前傾配置したリンク式モノクロスサスに、イニシャル荷重を5段階に切り替えられるショックアブソーバーユニット、ワイドな160サイズのラジアルタイヤとφ245mmソリッドディスクにブレンボ製ピンスライドタイプキャリパーブレーキを組み合わせる。
このほかマスターシリンダー内部の構造やレバー比を吟味し、低膨張率で伝導ロスを抑えたブレーキラインの採用などと相まって、高い安定性とフルバンクでの抜群のコントロール性を獲得している。
モタードのキャラクタに合わせたショートタイプのハンドルと体重移動のしやすい専用のフラットな形状のシート、専用形状のラジエターシュラウドを一体化したタンクカバーに守られた15リットルの大容量フュエルタンクは、自由度の高いライディングポジションとニーグリップ性・足つき性の向上を実現。
インナーチューブを覆う樹脂製プロテクター、前側がショートタイプのアップフェンダー、後ろ側がダウンフェンダーとなるフロントフェンダー、スモークタイプ小型ウインドシールドとビキニカウルとに一体化されたマルチリフレクターH4ヘッドライトなど、スーパーモタードスタイルをいっそう際立たせる、機能と統合されたユニークなデザインとしている。
この他の装備としてタコメーターを割愛し、オドメーターからのモード切替で表示される6桁表示のツイン構成トリップメーター、時計、FI系故障自己診断機能をビルトインした液晶デジタル表示のスピードメーターのみとしたシンプルなメーターパネル、盗難抑止機構イモビライザー、キー操作で着脱できるシートとシート下U字ロック収納スペースなど使い勝手に考慮した構成となっている。