エンデューロならではの人機官能を実現するために設計と実験を繰り返し、YZのエンデューロ仕様ではないYZの戦闘力をベースとしたエンデューロ専用開発マシンとなった新WR250F。
水冷4ストローク単気筒5バルブエンジンは、超低速のトライアルセクションから全開走行が要求されるオープンエリアまで対応するパワー特性を達成するため、カムプロフィール・バルブの最大リフト角を最適化したWR専用カム採用新型エンジンを採用。
また吸排気のタイミングを一新し、ミッションはエンジンの特性変更との最適化を図るため、3、4、5速のレシオを変更しクロスレシオ化を図ったことにより扱い易さを一層高めている。
エンデューロでの優れた走破性とファンライドでの快適性を実現するため、鍛造素材で構成された上下の大物パーツにより鋳造部分をサンドイッチする構造の'06 YZ250Fをベースにエアインダクションシステム・レギュレーター・サイドスタンド取り付け対応を施したアルミ製セミダブルクレードルフレームを採用。
全9点の構造部材を3種類のアルミ材質を配置し独自技術によって溶接することで、適度な"しなり"をもつ良好な剛性強度バランスの最適化を実現している。
またライトフィーリングを具現化するため、ハンドルクラウンとハンドルホルダーをアルミ鋳造から鍛造品へ変更し形状も一新、締め付けボルト長の変更などにより軽量・高剛性化を図っている。
アルミ製のハンドルバーは新たにテーパータイプを採用。軽量化と外観が向上した仕様となっている。
リアサスペンションはサブタンクを大型化し、ロングライドでもより安定した性能を引き出している。また全長をわずかに伸ばすことで、シャシーディメンジョンの適正化を図っている。
新WR250Fは重いモノを中央に集中させ外周部を軽く見せるYZと同じ造形イメージを採用し、フロントフェンダー以外の全ての外装パーツを新設計。
ヘッドライトは小型36.5Wランプを採用しレンズ面は従来のガラスから樹脂に変更。またライト周辺の部品構成を見直し軽量化を図っている。またテールランプには小型ながらも視認性の高いLEDを採用。
WR専用となるシートは2007年型YZの新シートの外観デザインイメージを踏襲しつつ、ロングランでの快適性と良好なホールド感を達成するため専用シート材を織り込んだ厚みのある構造を採用。
またライダーのライディングフィールを基にタンクとシートの形状を徹底的に作りこみ、よりスムーズな体重移動を可能にしている。
エンジンガードは軽量化と整備性向上を図りつつ、ガードエリアを大幅に拡大させた、従来のアルミ製3分割タイプから新設計の樹脂製ワンピースタイプを採用。
フットレストは従来より前後幅を拡大、取り付け位置を下げるとともにペグ形状をWR専用デザインにしたワイドタイプ。エンデューロに必要なライディング時の快適性とステップ荷重の容易性を確保している。またより泥抜けの良い形状とし、マディコンディションでも安定したグリップを確保している。
そのほか、新たに1ファスナーで開閉できる整備性に優れたエアクリーナーボックスを採用し、バインダータイプのエレメント固定方式と相まって、より短時間でエアクリーナーエレメントを交換可能とした。