2018.12.05

アールに宿る、エッジが語る、R6の魅力

YZF-R6



― フォトグラファーは作り手の代弁 ―

 
推測ではあるが… YZF-R6を被写体として世界の中で最も多くの写真を撮影している一人が、フォトグラファーの高島秀吉氏だろう。弊社が世に送り出してきたR6のカタログやSNSに掲載してきた写真の数々は、そのほとんどが高島氏によって写し出されているからだ。
 
プレストコーポレーション公式Instagram
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さて、撮影現場でR6に向き合う高島氏は真剣に悩む。しかし、頻繁に嬉々とした表情を浮かべ、よく喋り、はしゃぐ。とにかく「楽しい」のだと言う。
 

 
そして、「あくまでも個人的な意見ですが」と前置きした上で、ゆっくりと話しをはじめた。
 
「バイクだけで完結するデザインもありますが、ヤマハのバイク全般に言えるのは、ライダーが跨った姿を意識し、その時に最高の造形が現れるようにデザインされていると感じます。特にRシリーズでは、まるで空気の流れをライダーで表現しているかのようです」
 

 
「フロントスクリーンを超えて入り込んできた風が、ヘルメットからバックボーンを滑るように流れてリアに抜けていく様子が見て取れる。言葉を変えるならそれは、“一体感”であり“スピード感”なのかもしれない。そういったことを見つけ、感じるたびにうれしくなるんですよね」
 

 
R6に限らず、高島氏がヤマハのプロダクトを撮影する現場には、開発者やデザイナーが帯同するわけではない。マシンと向き合い自分なりの「解」を探す。その中で、見えてくるものを写真で表現しているのだ。
 
「作り手はバイクに込めた想いを言葉で伝えるチャンスはほとんどありません。その代わりにプロダクトに言葉を乗せて送り出している。写真はその言葉を代弁し、作り手の想いを加速させる表現の一つ。同時に伝えたい想いに対し、製品について“知りたい”というお客さまの視点を持つことも必要です」
 

 
例えばスペック表でわからないスタンドやタンクの形状など、一つ一つのパーツに宿る利便性、所有感、そしてパフォーマンスを写真で拡張するのがフォトグラファーの役目だと言うのだ。
 
 
 

― フォトグラファーが見るR6デザイン ―

 
「伝えたい」「知りたい」という2つの視点を持つ高島氏だが、今回は特に「伝える」という視点から具体的にR6のデザインなどについて語ってもらった。
 
「R6の製品写真をはじめて見た時はR1に少し手を加えた程度かと思いました。でも撮影で実物に対面した際にまったくの別物だと感じたのです。それはR1が面で構成されているのに対して、R6は多くのアールで構成され、多様なアールが連続することで美しい造形を作り出しているからです。これがR6のデザインにおける最大の特徴。そしてエッジも見逃してはなりません。車体のあちこちに鋭く立ち上がったエッジは、まるで竹のようにしなやかで優しさのあるラインが特徴です。それはまるで生き物のようにR6を見せてくれます」
 
特にマットグレーメタリック3はアールを使ったボディーワークがわかりやすいと言うが、その作品例が以下の写真になる。R6には視覚的には捉えにくい曲面が無数に設けられているが、これらが見事に浮き上がっているのがわかるだろうか。
 

 
そして高島氏が最も気に入っているのが、ヘッドライト周りの造形だ。ここは何度見ても見飽きることがなく、何度見ても驚かせると絶賛してくれた。
 
「上下のカウルがまるでまぶたのようで、サイドのレイアリングもすごい。これは言葉にするより見ていただく方がわかりやすいので作品を用意しました。誤解を恐れずに言いますが、他メーカーのデザイナーたちが地団駄を踏んでいるのではないかというくらい、今、世の中にあるモーターサイクルの中でダントツだと思います」
 

 

 
続いて、特にR6が美しさが際立つシーンについても聞いてみた。
 
「僕らは、カメラと光と被写体の三角関係の中で常に生きています。例えばお昼(太陽が真上にある時間帯)には感じなかったものが、時間が変わり3つのバランスが変わるだけでまったく違うものが見えてくる。これはアールの多いR6では特に言えることですね。」
 
例えば下の作品は、逆光で撮影されたものだが、陰影を作ることで艶やかにヌメッとした質感を表現している。
 
「バイクに興味があるなしにかかわらず、デザインが持つ表現の豊かさを感じていただけるとうれしいです」
 

 
VOICEでは、先に高島氏によるバイク撮影方法の記事を掲載したが、最後に改めてR6を撮影するにあたって気をつけるポイントについて聞いた。
 
「R6に関して言えば、すでに繰り返し話しているエッジ、マシンの角を意識しディテールにクローズアップすると面白いはず。シチュエーションは朝と夕方、光が斜めの時間がベストです。ぜひ試して、良い写真が取れたらSNSなどで公開してください」
 
カメラとバイクを愛し、そのファインダーから見えるR6のデザインを語ってくれた高島氏。走りこそバイク最大の楽しみであるが、目を凝らして眺めることで気づかなかった魅力が見えてくるものだ。開発者やデザイナー、そしてフォトグラファーがR6に載せた言葉を感じて欲しい。
 

 
 
 


 
 


〈PROFILE〉
高島秀吉

カタログ用のスタジオ&ロケ撮影、国内外でのレース撮影、motoGPライダーのオフィシャルカメラマンなど、バイクにまつわるキャリアは多い。2006、2012年のマン島TTレース撮影に続き、2018年には憧れだったボンネビルスピードウイークを撮影。
プレストコーポレーションでは、多数のカタログ撮影と、現在Instagramで連載中の「見る小説」を担当。
2015年の現行R1デビュー時、当時渡航中のカリフォルニアから三日間だけ帰国し行ったカタログ撮影は思い出深いエピソード。
バイクとバイク好きをこよなく愛する写真家です。