2018.09.14

R6で磨いた実力は決して嘘をつかない

YZF-R6



全日本参戦ライダーの南本宗一郎選手(AKENOSPEED・YAMAHA)と井手翔太選手(HiTMAN RCKOSHiEN YAMAHA)に続くYZF-R6ライダーへのインタビュー第2弾。
今回はアジアロードレース選手権のスーパースポーツ600に参戦している伊藤勇樹選手とケミン・クボ選手(ともにYAMAHA RACING TAEM ASEAN)に、R6について語ってもらった。

 
 

― 未来を変えるマシン「YZF-R6」 ―

 

 
2010年からR6一筋。8年目となる伊藤選手とR6の出会いは全日本ST600だった。「GP250でTZに乗っていたので市販車のR6は重いし、曲がらないし… 最初は生意気にも『これでレースするの?』と不安でした」。ところが「ダメなのは僕でした。R6をちゃんと理解できず、ポテンシャルを引き出せない状況が続き…」と、最初の2年は予選を通るか通らないかのレベルにとどまった。
 
変化があったのは2012年、アジアロードレース選手権(ARRC)への参戦だ。「いろんな国のいろんなレベルのライダーが集まるARRCのおかげで視野が広がり、ライディングスタイルを変えたことでR6に対するフィーリングが変化しました」
 
こうして2012年以降、伊藤選手はARRCを主戦場にR6とともに力をつけ、2016年に「YAMAHA RACING TEAM」のシートを手に入れる。
 

 
クボ選手がR6にはじめて乗ったのは2016年。ヤマハとThai Yamaha Motor Co., Ltd.(TYM)、そしてTeam Norickが共同で若手育成を目指した「YAMAHA Thailand Team Norick」のライダーに抜擢されたことがきっかけだ。「今でも鮮明に覚えています。ドキドキでした。それまでは僕にとってR3が最大排気量車で600ccには乗ったことがなかったし、なによりも自分のレース人生が本格的に幕をあける瞬間だったからです」
 
こうして、もてぎロードレース選手権ST600(地方選手権)を主戦場に腕を磨いたクボ選手は、最終戦で優勝しチャンピオンを獲得。この成績が認められ、2017年、伊藤選手とともに「YAMAHA RACING TEAM」の一員となった。
 
 
 

― まだまだ底が見えない、これからのマシン ―

 
2018年、「YAMAHA RACING TEAM ASEAN」という新しいチーム名とともに、伊藤・クボの両選手はマシンを新型R6に乗り換えARRCでの戦いをスタート。ここまで4戦を終え伊藤選手が第2戦で優勝、クボ選手は第3戦で自身初の表彰台となる2位を獲得するなどの活躍を見せている。
 

 
こうした状況の中で伊藤選手が新型R6について話してくれた。
 
「第一印象は『もっと速く走れる』というものでした。実際、オーストラリアラウンドで優勝しましたが、走りの面ではフォーク径が大きくなって剛性が上がりブレーキングに自信を持てるようになりました。これで思い切った突っ込みからオーバーテイクができている。新しい武器を手に入れた感じです」
 

 
さらに、「従来からベースが大きく変わっていないため、僕にとっては8年間の経験をゼロにすることなく生かすことができたのはプラスでした。ここまで4戦を終え新型への知識を深めてきましたが、R6からも『まだまだいける』というメッセージが伝わってきます。底が見えません」
 
実際、伊藤選手はポジションやタンク形状のアップデートを活用し、新たなセッティングやライディングスタイルに挑戦中。10月13-14日にはインドネシアラウンド、12月1-2日には最終戦のタイラウンドが控えており、さらなる活躍が期待される。
 
 
 

― ライダーに寄り添えるバイク ―

 
「R6と出会い、阿部監督やヤマハのみなさんに出会ってから僕の人生は大きく変わりました。フラットトラック、モタードなどたくさん練習し、数多くのレースに出て腕を磨くという経験だけでなく、大きな目標ができた。そしてついにはYAMAHA RACING TEAM ASEANのライダーになったのです」
 

 
しかし、道は半ば。クボ選手はもっと上を目指している。「まだたくさん学ぶべきことがあります。それを教えてくれるのがR6。すぐには答えを教えてくれませんが、そっと気づかせてくれる優しさがあります。もしR6ではなかったら? 僕はここにいないでしょうね」
 
一方、ARRCのトップライダーに成長した伊藤選手はR6を「最高の戦友」と表現する。「ST600にクラスを変えR6に乗るようになって世界が目標になりました。8年間をともに過ごして思うのは、R6で磨いた実力は嘘をつかない。決してライダーを裏切らない。スキルをあげていくためにR6は最適なマシンです」
 

 
これはプロだけでなくすべてのユーザーにも当てはまる。「そうですね。R6は素直なので、バイクなりに乗って上げるとスムーズな走りに導いてくれます。例えばコーナー。スピードを高く残しつつ、しっかりリアタイヤに荷重を乗せると出口でまっすぐに出てくれるとかね」
 
YZF-R6は伊藤選手、クボ選手の側で時に厳しく、時に優しく、さまざまに役割を変えながら寄り添い未来を変えてきた。そして現在も、より大きな世界を目指すクボ選手、R6を極めようとする伊藤選手の未来を支えている。
 

 
 
 


 


〈PROFILE〉
伊藤勇樹選手(YAMAHA RACING TAEM ASEAN)

1991年生まれの26歳。2010年からST600に参戦を開始。2012年よりARRCとダブルエントリー。2014年に初優勝して自己最高のランキング2位を獲得している。2016年からヤマハの契約ライダーとしてARRCのエースライダーとなる。2018年はここまで優勝1回などの活躍でランキン3位。

 


〈PROFILE〉
ケミン・クボ選手(YAMAHA RACING TAEM ASEAN)

1999年生まれの19歳。タイのローカルレースを走っていたが、阿部光雄監督の目にとまり、アジアか世界を目指す若手育成プロジェクトの一員として2016年に来日。以降、地方選手権を経て全日本、ARRCに参戦。ARRCでは今年の第3戦に初表彰台を獲得するなどメキメキと力をつけるアジアの新星。