ホームプレストマガジン > 難波恭司のおでかけ★YZP&PRESTO Racing report
よ〜い

あの夏が来る前に

今年は全日本選手権シリーズから外れ、名前の通りあの「8耐前哨戦」として確立し、昨年まで続いた「200km」から「300km」へと進化して開催された今年の鈴鹿300km。今まで数々のドラマが生まれ、耐久とスプリントの両立が求められたレースは更にヒートアップしそうな予感がしていました。
YSP&PRESTO Racingとしては、前回お伝えした通り「中冨」選手に加え、「吉川和多留」選手があの夏の過酷レース「8耐」まで参戦が決定しています。先日からチームテストに合流してはアドバイス。ライダー同士のコミュニケーションは、昨年の8耐クラス優勝コンビですから今更心配する必要はなく、'04YZF-R1を耐久に合わせてどう料理していくか?という楽しみをもたらせてくれています。
前回の筑波優勝を弾みに波に乗りたい「中冨」選手は、気力ともに勢いを感じるくらい元気が良く、タイムも安定してきていました。対する「吉川」選手。普段はYZR-M1の開発テストに従事しており、チームに合流してのテストが充分とは言えない状況なので、どれだけマシンに慣れる事ができるか?が気になるところでした。

今回のレースに使用するマシンは、通常のスプリントで使用しているマシンとほぼ同じ。2人のライダーで交代しながら走るレースとはいえ、8耐のようなヘッドライトやテールランプはなく、ガソリンタンクが規定量の最大である24リットル(STDは17リットル)に変更され、給油口にクイックチャージ・システムが追加されている程度。後はタイヤ交換を敏速に行なえるように追加加工された前後のアクスル・シャフト取付関係のみ。それでも2人のライディング・スタイルやセットアップが全く同じ・・・という事はあり得ないので、お互いの妥協点を見つけ出す作業は簡単じゃないのですね。
フリー走行から効率良くセッティングを見つけ出すため、2台のマシンを駆使してピットインを繰り返してはセットアップを進めていました。ここでもう一つ大切なのは「燃費」。300km(鈴鹿サーキット52周プラスα)をピットイン1回で走りきるには、ある程度の燃費が必要となります。より正確なデーターでないと「ガス欠」だってあり得ます。たとえトップを走行していたとしても、チェッカーまでたどり着かないと意味がありません。多くのチームが排気量1000ccマシンの燃費データーを持っていないようで、ガソリンタンク容量と燃費、そして周回数を踏まえたピットインのタイミングと給油量に神経を使っていたようです。

YSP&PRESTO Racingとしては、1回ピットの前後タイヤ交換・・・という「セオリー」通りを選択。予選などのセッション後、ピットまで戻る度に決勝を見据えたピット作業を行ない、来る「本番」へテンションを高めていきました。

予選

今回のレースウィーク、タイヤの使用本数制限が入っており(8耐同様)、これが作戦を難しくしていました。
40分間ある予選でも決勝レースで最低「2set」使用する事を踏まえると、残るは「2set」。2人のライダーが2回の予選を「満足」に走る為には本来4set欲しいところ。それが叶わないので中古の「Used」タイヤを使用するしかない場面が出てきます。フレッシュなNewタイヤでなければベストタイムが難しい事は御存知でしょうけど、この場合ライダーの立場で言えば「我慢」せざるを得ず、決勝へのセットアップに割り切るしかないのですね・・・。今回はその立場を吉川選手が請負った事になりますが、これもチームワークとして大切な事。応援に駆けつけて下さった方達は期待していたかも知れませんが、実はこういったバックグラウンドもレースには存在するんですね !
予選1回目。総合7番手であるものの、このレースはスーパーバイク(SB)、JSB1000(JSB)、エックスエックス・フォーミュラ・ディビジョン1&2(XXF-Dv1・2)、そしてストッククラス(ST)の5クラス混走なので、見た目と実際のクラス順位が混同してしまうので難しいのですが、エントリーしているJSBクラス4位と、もう少しのジャンプアップが欲しいところ。
午後の予選2回目。日曜日の天候が「怪しい」事を天気予報が告げていたので、天気が崩れる前は気温は上がる・・・という実例通り暑くなり、おまけに湿度も高くなってしまった事からどのチームも苦戦。セッション途中でフレッシュ・タイヤに履き替えて、更なるタイムアタックに出て行く中冨選手。0.2秒を縮める事に成功したもののポジションを一つ落として総合8番手。JSB1000クラス4番手となりました。
吉川選手はリアタイヤの感触に問題を感じており、レースへの課題は完璧とは言えない状況ながら、それでもレースを見据えたセットアップに専念していたようです。

今年から、8耐を含めてレギュレーションの変更があり、タイヤ交換のシステムや給油システムや方法に規制が入っています。全体としてはシステムの簡素化でありコストを押さえる目的となっていますが、実はこれが大変。
給油だけとっても今まではピット前に「やぐら」を組み、その「やぐら」上にガソリン容器を設置し、その落差により給油していたため給油担当者は給油ホース先端のノズルを持ってスタンバイしていれば良かったのですが・・・。今年はこれらが禁止なので、24リットル以上のガソリンを満載した金属容器を上半身以上の位置に持ってスタンバイ!しなくてはならないのです。容器の重さも入るので、30kg近いものを肩の高さで維持してピットインを待たなければならないのと、正確にガソリンタンク給油口に導く必要もありますから、さぞかし体力トレーニングを積まないと辛そうですね。これが夏の8耐を考えると・・・厳しいことが想像できますねぇ。予選後のピットイン作業リハーサルを見ていて、ちょっと現実を想像してしまいました。

決勝レース

日曜日。天気予報が伝えていた内容とは違い、なんと晴れ♪おまけについでに「暑い」。8耐前哨戦?にふさわしい状況になったとも言えますが、ライダーは大変。ヨシムラ・チームは加賀山選手が予選で転倒し、鎖骨を骨折して締まった事から、ペアの渡辺選手は急遽ひとりで走る事になっていたり、レースの行方はチームの駆け引きなど複雑に絡んでいて読めない状況でしたが、YSP&PRESTO Racingとしては、昨年の8耐同様にスタートを中冨選手。そして丁度ガソリンが底を突くであろうレース半分で吉川選手へバトンタッチする作戦でした。

レーススタートも8耐と同様の手順で「ル・マン式」!秒読みと共にスタートが切られ、メインストレート反対側にスタンバイした各ライダー達がマシンに駆け寄り一斉にスタート♪初の300kmレーススタートとなりました。
レース序盤は転倒者続出。通常よりも多くガソリンを積んでおり、実はこれがマシンコントロールを難しくし、マシンのセッティング・バランスも狂わせてしまうのです。予選などと同じ感覚で走ってしまうと、止まれない曲がれない、無理が出来ない!という状況になり、競い合う相手がいると転倒に繋がってしまう可能性が出てきます。
そんな中、中冨選手は着実に走り、前方を走るライダーをピッタリマークし、「後ろを走る事で楽にタイムがキープできる」事に気付いていたようです。そしてチャンスを伺いアタック!一時は他のチームが給油ピットインした事から3位まで上がる活躍。YSP&PRESTO Racingも厳しいながら意外と燃費が良いようで、ホンダ系が2ピットを余儀なくされている中、終盤での行方にも興味が湧いてきました。
ルーティンのピットインで中冨選手から吉川選手へバトンタッチ!前後タイヤ交換し、そして給油。この給油でも満タンになっていないとガス欠の恐れが出てきます。ガソリンタンクには、給油口とエア抜き口の2つがあり、エア抜きからガソリンが出てくれば満タンです。しかし勢いがある為、タンク内に空気が残りやすいのも確か。過去にファクトリー・チームでもガス欠リタイアしてしまうケースもありましたが、実は簡単そうに見える給油でも確実に行なう事は大変な作業なのです。やや長い給油時間だったのも、確実に満タンでなければならない事を考慮しての作戦だったようです。
吉川選手がコースインし、他チームのピット作業も一段落した時点では5番手。周回遅れも多数出ているのと、クラス違いからラップタイム差も大きく、なかなか思うようなタイムが刻めない吉川選手でしたが、クラスの違う伊藤選手にパスされながら我慢の走行で総合6番手。終盤に入り、燃費の関係から2度目のピットインを始めるホンダ勢に対し、もうピットインの必要がない吉川選手は、総合5番手で無事チェッカーを受けました。

今回のレース、実は細かいトラブルもあったようです。選手権というタイトルがかからず、8耐の前哨戦という事からテスト的な意味を持つレースとなり、各チームの動向や体制などが見れたのですが、YZF-R1にも耐久へ向けての課題があった事も確か。今回の問題点を、7月25日(日)に行なわれる8耐決勝までにクリアーし、昨年以上の成績を期待したいところです。
まだまだ暑い、そして熱い「あの夏の日」の栄冠を目差してチームとライダーを応援したいと思っています。皆さんも現地への応援計画を是非お願いしますね♪サーキットでお待ちしています!おっと・・・今月は13日(日)に栃木県の「ツインリンクもてぎ」でR2-1全日本選手権がありますね!こちらへの応援もお忘れなく♪

[update:2004/6/3]

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2台の21
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大切なミーティング
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勢い付いたか中冨選手
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活躍のフロント・ジャッキ
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ふたりのチームワークが大切
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GASタンク
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計量は正確に
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怪しい天気
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用意されるタイヤ達
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悩める吉川選手
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リハーサル準備中
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せ〜の
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吉川和多留 見参
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中冨選手のタイムは
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暑い
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集中
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ピットはここだ
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本番
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マシンの状況は
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8耐発表会

難波恭司プロフィール

1963年3月8日生まれ
'81 18才で草レースを始める/'83 ノービスライセンス取得/'85 鈴鹿4h耐久レース 3位/'86 国際A級昇格 ヤマハ契約/'87 TZ250の開発テストに携わりながらレース参戦始まる/'92 ファクトリーマシン TZM250開発テストに携わる、全日本選手権 初優勝 250cc/'96 GP500マシン開発テスト携わる/'98 代役としてWGPのGP500へ年間 5戦参戦 鈴鹿では予選2位 決勝5位/'02 現在はモータースポーツ普及活動など、モーターサイクルの「伝道師」として活動中。特に今年は'07YZF-R1でレース参戦を計画中。
ライダープロフィール

中冨伸一 (なかとみ しんいち)

1978年 10月 30日(24歳)血液型 A 型
'96年: 九州選手権GP250ccチャンピオン/'97年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング15位/'98年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング11位、西日本エリア選手権GP250ccチャンピオン/'99年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング4位/'00年: 全日本選手権国際A級GP250ccチャンピオン/'01年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング11位/'02年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング8位

吉川和多留 (よしかわ わたる)

1968年9月26日生まれ 血液型 A 型
'86 ロードレース・デビュー(18才) S80 クラス/ '90 全日本ジュニアチャンピオン SP750クラス/ '91 全日本国際A級 ランキング9位 F1 クラス/ '92 全日本国際A級ランキング9位 F1 クラス/ '93 全日本国際A級8 位 F1 クラス/ '94 ヤマハワークス入り、スーパーバイク元年チャンピオン!/ '95 全日本選手権 ランキング4位 スーパーバイク クラス/ '96 ワールドスーパーバイク選手権参戦 世界ランキング9位/ '97 全日本選手権 ランキング 4位 スーパーバイク クラス(YZF-R7)/ '98 全日本選手権 ランキング4位 スーパーバイク クラス(YZF-R7) '99 全日本選手権 ランキングスーパーバイク クラスチャンピオン! '00 全日本選手権 ランキング 5位 スーパーバイク クラス '01 全日本選手権 ランキング 5位 スーパーバイク クラス