ホームプレストマガジン > 難波恭司のおでかけ★YZP&PRESTO Racing report
荒涼たる…

'04 ALL NEW YZF-R1…?!

いつものようにマシンの前を通り、左側からマシンに跨ってステアリング・バーに手を伸ばした。違和感がない・・・。続いてステップに足を伸せ、シフトペタルに爪先をあてがう。ペタルの角度は問題ない。そして右側のリアブレーキ・ペタルに至るまでジャスト・フィット。あれだけポジションにこだわる私なのに・・・。そしてブレーキレバーとクラッチレバーに指を伸ばした。ここだけはアジャストが必要だった。私は数々の戦歴?により、手首と指にダメージがあり、ここだけは自由度が狭い為、他の人より下向きにレバー・ホルダーを向けないと操作が出来ないのだ。が、それだけだった。僅かにレバーの遊びを調整し、メインスイッチを右にひねった。ガソリンタンク内の燃料ポンプが作動し、止まったのを確認してスターター・ボタンを押した。既にスタッフによってウオーミングアップされていたマシンは簡単に目を覚まし、'03 R1のエキゾーストよりも遥かに力強く、そして荒々しくもジェントルな排気音に聞こえる。「そうか、シートカウルから後方へ排出されるという事は、よりライダーの耳に近いところで雄たけびが聞こえるという事か・・・」自分に納得した。

2〜3度アクセルに力を込めると、エンジンは瞬時に反応する。クラッチを切りシフトペタルを踏み込んだ・・・ん?あの独特な駆動系の衝撃が少ない。シフトタッチもスムースで、細かいところだが操作性までも改善されているのが嬉しかったりする。

クラッチミートして走り出すと、若干だがロングレシオになっている事に気が付く。もちろんそれがスタート性をスポイルしている訳でもなく、充分な発進トルクを感じる。スロットルを「いきなり」全開ではなく気持ちを押さえながら「ゆっくり」と開けた。とてもスムーズだが、エンジンの回転が路面を蹴るリアタイヤと連動しているように感じる。インジェクションのマッピングなどが更に洗練されて、スロットルとのリニアリティに優れていると同時に、トラクションとしてダイレクトに伝わる。

ギヤーを2速に入れ、今度は一気にスロットルを全開にした。タコメーターは「アッ」という間に羽跳ね上がり、同時にデジタル・スピードメーター3ケタをドンドン増していく。特に高回転域になるとパワー感が強く、'03 R1に比べると排気量がまるで200ccほど増えたような感覚だ!「あれっ?今何に乗っているんだろう????」そう言えば、ライディング・ポジションはいつものGPマシンだし・・・。

慌てて3速、4速へとシフトアップを繰り返すと、そのギヤーの繋がりの良さに納得。とてもレーシーなレシオ設定なのだ。しかもギヤーが吸い込まれるように気持ち良く入る。いやいやそれに感動している場合ではない!次は200km/hオーバーから迫ってくるコーナーへのブレーキングを開始だった。程よいピッチング・モーションを感じつつターンインを試みると、そのマシンの回頭性はGPマシンYZR500と非常に似た運動性である事に気付いた。「あれっ?500だっけ?」

ステアリングを通して伝わるタイヤのインフォメーションも分かりやすく、ターンインと同時にリアタイヤの存在感も伝わってくる。スプーンコーナーなので、コーナー途中から更にバンク角を増していった。バンク角に対する旋回力の立ち上がりもリニアで、深いバンクになれば気持ち良く素直に旋回する。思い通りのラインは、考えてみれば慣れ親しんだGPマシンと同じ軌跡を通っているではないか!「あれ〜っ?やっぱ500?」

3速でスロットルを開けていく、そして全開!ハイグリップな新しいミシュラン・タイヤは必死でグリップしようと踏ん張るが、そこはエンジンパワーが勝ってスライドを始めた。マシンを少し立て、スピンしながらも前に進ませようと試みると、面白いように加速する。タイヤの特性からか?スピンが始まってもグリップ感があり、しっかりトラクションするので安心してスロットルを全開に出来る。もちろんシャシーとの相性も好印象だ。エンジン回転は13,500rpm。スピードも220km/hオーバー・・・。感覚は殆どグランプリマシンの領域なんだけど、「これは一体なに??」

最終コーナーに黒々とブラックマークを付け、ロッシ張りのカウンターステアを当てて立ち上がり、スロットルは全開。ドンドン加速は続き、6速で加速中のスピードメーターは最大表示の299km/hで止まっていたが、更にタコメーターの針は上昇を続け、13,300rpmに達したところでストレートは終わり、残念ながら?ブレーキングをしなければならなかった。まだ続くストレートがあれば恐らくエンジン回転リミッターが介入しただろう・・・。「やっぱ500だよなぁ?」

数ラップの「楽しいひととき」を終えピットロードに向かい、いつものように200km/hくらいからのジャックナイフ走行♪が、それもいつも通りだった・・・そしてピットまで戻った後にバックミラーが付いている事で、「あれっ?」自分が乗っていたのはYZR500じゃなかったのか?あれれ???分からなくなったところで「アラーム」が鳴った?「えっ?夢?」何と!目が覚めたのだった・・・。

ヤマハのフラッグシップ・スーパースポーツの名を語るにふさわしいスタイルを何度か「眺める」だけの日々が続き、昨年の東京モーターショーやモテギで行われたMotoGPの会場で見たインパクトはそのまま私の脳裏に焼き付いたままだった。

早く'04 YZF-R1に乗りたい!という我慢しきれない願望がそうさせたのか?これは正夢だったのか?テストコースとYZR500、そして'04 YZF-R1がゴチャゴチャになり、更に加速中・・・。う〜ん、現実の今冷静に考えると、やっぱりあと1ヵ月と半分は待たなきゃならないか。この感動、あなたは待てますか?私が見た夢の続きは、3月か・・・。この夢が正夢だったかどうかは、あなた自身が実物で確認してみてくれ!

[update:2004/1/30]

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難波恭司プロフィール

1963年3月8日生まれ
'81 18才で草レースを始める/'83 ノービスライセンス取得/'85 鈴鹿4h耐久レース 3位/'86 国際A級昇格 ヤマハ契約/'87 TZ250の開発テストに携わりながらレース参戦始まる/'92 ファクトリーマシン TZM250開発テストに携わる、全日本選手権 初優勝 250cc/'96 GP500マシン開発テスト携わる/'98 代役としてWGPのGP500へ年間 5戦参戦 鈴鹿では予選2位 決勝5位/'02 現在はモータースポーツ普及活動など、モーターサイクルの「伝道師」として活動中。特に今年は'07YZF-R1でレース参戦を計画中。
ライダープロフィール

中冨伸一 (なかとみ しんいち)

1978年 10月 30日(24歳)血液型 A 型
'96年: 九州選手権GP250ccチャンピオン/'97年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング15位/'98年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング11位、西日本エリア選手権GP250ccチャンピオン/'99年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング4位/'00年: 全日本選手権国際A級GP250ccチャンピオン/'01年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング11位/'02年: 全日本選手権国際A級GP250ccランキング8位