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猛、出発(左) 和多留、出発(右)

R2−1最終戦までの歩み

やったー! R2−1最終戦、UFJ鈴鹿2&4での決勝。最終ラップのシケイン進入で、私はピットにいたスタッフ全員をサインボード・エリアへ呼び出しました。待ちに待った感動の優勝を全員で分ち合うために・・・。

ここに来るまでの道のりは、決して容易くありませんでした。今年からロードレース全日本選手権へ導入されたレギュレーションは、名前こそスーパーバイク・クラスであっても、実質は世界選手権で争われる「motoGPクラス」のマシンを参戦可能にしてしまっていた為、市販車である我々のスーパーバイクで戦うには厳しい状況だったからなのです。それは自己ベストであってもトップとは程遠い位置であるため、結果として満足行かない・・・というジレンマでもあり、排気量も現在のレギュレーションでは厳しい750ccであることから、どうしてもコーナーリング・スピードを求めてしまい、タイムを狙うにはセッティングもシビアな方向を選択せざるを得ないほどでした。 それでも「YSP Racing & PRESTO」の「吉川和多留」「辻村猛」のふたりは決して諦めることなく果敢に攻めたて、最終戦であるこのレースで最高の結果を手に入れてくれました。 それはレース序盤からプロト・クラスを追い詰め、寒く冷たいコンディションを味方に付け、寒さを吹き飛ばす勢いで20周を戦い抜いたのです。

夏以降、残りのレースに対してマシンに新たな試みを加え、そのマッチングを探りながら進めていたのですが・・・なかなか噛み合わず、どうしてもあと1歩の表彰台テッペンに届かない悔しさがありました。 第7戦の鈴鹿では、トップまであと1秒・・・。 そして第8戦のTIでは雨による大波乱レース。 特に得意とする鈴鹿でのチャンスは物にしたい意識が強かったのですが、今まで苦手だったTIサーキットに対応するため、急遽テストを試みる事で流れを掴もうとしたのでした。
TIのレースウィークは順調・・・と思われたのですが、ウエットとなった予選では吉川選手が苦戦。ややコンディションが回復して全体のタイムが上がり始めたのに、どうしてもタイムアップできずグリッド4列目。しかし辻村選手はアタックに成功し、スーパーバイク・クラス2番手のタイムをゲットしたことで、決勝への期待が高まっていました。 が、決勝へのサイティング・ラップへ向かおうとした時、なんと我慢していた雨粒が落ちてきて・・・完全なウエットレースとなってしまいました。このTIサーキットは路面グリップが極端に悪く、特にウエットでの危険度はとても高いのが知られています。これを証明するかのごとく、ウエットでの予選では多くの転倒者が出る結果となり、ポイントリーダーである渡辺選手、そしてそれを追う玉田選手ともに転倒していたくらいですから・・・。
決勝はプロトクラスも大苦戦。なんとJSBクラスの清成選手の独走で終わった事で、レースが難しかったことを表していました。吉川、辻村選手は転倒は免れたものの我慢を強いられ、ストレスの溜まるレースだったことをコメントしていました。何しろ2コーナー立ち上がりから「ずっとホイールスピン」が止まらず、スロットルを開けていても加速しない状況だったららしいのです。そんな状況から「最終戦こそ」という気持ちが高くなっていたのも事実です。

迎えた今回の最終戦。無情にも初日は雨によるウエットコンディション・・・。ここでは無理をせず、天気予報で土曜日の予選を含む週末は晴れる事を確認できていたため、大まかなセッティングのみで「やり過ごす」事としていました。ここでもストレスを溜めてしまっていたのですが、予選から一気に爆発させる為にじっとしていたのですね!
予選は予報どおり快晴!溜まっていた「走りたい」という気持ちを爆発させるかのごとく、辻村選手は真っ先にコースイン。トップタイムをマークしながら好タイム連発。そして続くように吉川選手もアタックし続け、グリッドはふたり揃ってのフロント・ロー獲得に繋がりました。鈴鹿はストレートが長いため、トップスピードで大きく上回るはずであるmotoGPを代表するプロト・クラスの活躍が想像できていました。が、ふたを開けると「YSPRacing&PRESTO」の大活躍で沸かせてくれたのでした。
最終戦でチャンピオンが決定するのですが、ポイントで3番手に付ける吉川選手が逆転チャンピオン獲得するには、現実問題として1位、2位両方がノーポイント・リタイアしかありませんでした。したがって、チャンピオンに向けて・・・というより、1勝に向けてすべて集中する状況であり、支えるスタッフにもその気持ちが伝わっていたのは当然ですね。 そして日曜日の朝、決勝前のフリー走行では・・・一度もピットインせず走りきり、プロトクラスを押さえて総合トップタイムをマークしたのは吉川選手でした!いよいよ迎える決勝へ向けてすべての条件が整い、その瞬間を信じてライダーを送り出す準備時間がとても長く感じていましたが・・・。
グリッドではいつもと違う空気が漂い、感じるのは緊張感ではなく集中力でした。並々ならぬ雰囲気は、支えるスタッフから、そしてマシンに跨ったままのライダーから強烈に伝わっており、言葉では表せないほどのパワーを感じ取っていたのです。
そしてスタート・・・やや出遅れた?かのように思えた辻村選手。私はいつも、グリッド近でスタートを確認し、それからピットへ戻ってからモニターを見るのですが、どうしてもその間にタイムラグが生じてしまい、スタート直後の展開が見えません。しかし今回は場内アナウンスが辻村選手の上位進出を叫んでおり、その様子が見えないながらも「よ〜し」と心で叫んでいました。 レース展開は大波瀾。寒い風が吹き付けることで路面温度は上がらず、4輪レース併催の影響も手伝って路面グリップが悪い様子なのです。慎重に・・・と思いながらもレースのペースはライダーに任せ、全体の流れやタイム差をサインボードで伝え続けていました。そしてレース中盤、プロトクラスの加賀山選手と「吉川」「辻村」の3人のトップ争いに持ちこめた時、私は「行ける」と確信しました。ここまでの流れ、そして彼らふたりの集中力、そして支えるスタッフ・・・すべてが整っている。これ以上必要なもの・・・それは「運」かもしれないが、「それもここにある」と感じたのです。
周回遅れがたくさん出始め、激しさが一層増してきたレース終盤・・・ヘアピン・コーナー過ぎ200R高速コーナーで、トップを行く加賀山選手のマシンから白煙が!一瞬の出来事で目を疑いましたが、直後を走っていた吉川選手は大量のオイルを浴びながらも運良く回避できたのが幸いでした。気が付くと、我々のチームがワン・ツー体制となり、残り4周はチーム同士の嬉しい?マッチレースへと移ったのでした。
結局グリップの落ちたマシンを巧みに操った「吉川選手」が真っ先にチェッカーを受け、その2秒後に「辻村選手」も必死に食い下がったことでプロトクラスを退けて、堂々の総合優勝!そして1位、2位の獲得という、最高の結果をものに出来ました♪
ここに至るまでの努力はひとことで言い表せませんが、「決して諦めない」という気持ちと、それを支え続けてくださった方々、そして応援し続けてくださった方々の思いが通じたのだと思います。本当に感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました!

このレースはスーパーバイク・クラスとしては最後のレース。そしてYZF−R7としても最後のレースであり、その締めくくりを最高の形で終えられた事を誇りに思います。ちょっと出来すぎ?でしたが、こんな感動を皆さんと共に得られたのは本当に幸せな気持ちです・・・。こんな感動があるから、レースって止められないのですね!

今年1年間我々を応援して頂きありがとうございました。その応援に最後の最後で答えることが出来て良かったと思います。来期に付いては、大きくレギュレーションが変更になるのでまだ決定していませんが、今後もモータースポーツを通しての感動や、オートバイを通じての遊びなど、皆さんと時間を共有できるようにしたいと思っています。更なる応援をよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました!

YSP Racing Team sponsored by  PRESTO corporation チーム監督 難波恭司

[update:2002/11/11]

見えるかな、スクリーンの穴
ウエット路面へ・・・
ブレーキメンテも確実に
今日はどっちにしようかな
こんな感じでいかが
集中のふたり
寒くて荒れるタイヤ
寒いのにご苦労様です
見守られてコースイン
タイヤはいかがでしょうか
セッティングはいかがでしょうか
こんなに晴れた

難波恭司プロフィール

1963年3月8日生まれ
'81 18才で草レースを始める/'83 ノービスライセンス取得/'85 鈴鹿4h耐久レース 3位/'86 国際A級昇格 ヤマハ契約/'87 TZ250の開発テストに携わりながらレース参戦始まる/'92 ファクトリーマシン TZM250開発テストに携わる、全日本選手権 初優勝 250cc/'96 GP500マシン開発テスト携わる/'98 代役としてWGPのGP500へ年間 5戦参戦 鈴鹿では予選2位 決勝5位/'02 現在はモータースポーツ普及活動など、モーターサイクルの「伝道師」として活動中。特に今年は'07YZF-R1でレース参戦を計画中。
ライダープロフィール

吉川和多留 (よしかわ わたる)

1968年9月26日生まれ 血液型 A 型
'86 ロードレース・デビュー(18才) S80 クラス/ '90 全日本ジュニアチャンピオン SP750クラス/ '91 全日本国際A級 ランキング9位 F1 クラス/ '92 全日本国際A級ランキング9位 F1 クラス/ '93 全日本国際A級8 位 F1 クラス/ '94 ヤマハワークス入り、スーパーバイク元年チャンピオン!/ '95 全日本選手権 ランキング4位 スーパーバイク クラス/ '96 ワールドスーパーバイク選手権参戦 世界ランキング9位/ '97 全日本選手権 ランキング 4位 スーパーバイク クラス(YZF-R7)/ '98 全日本選手権 ランキング4位 スーパーバイク クラス(YZF-R7) '99 全日本選手権 ランキングスーパーバイク クラスチャンピオン! '00 全日本選手権 ランキング 5位 スーパーバイク クラス '01 全日本選手権 ランキング 5位 スーパーバイク クラス

辻村 猛 (つじむら たけし)

1974 年7月4日生まれ 血液型 A 型
'84 モトクロス・デビュー (10才)/ '87 ミニバイクレース・デビュー (13才)/ '91 ロードレース・デビュー (16才)/ '92 全日本選手権デビュー/ '93 世界グランプリ125ccクラス参戦開始。数回の優勝経験あり!/ '97〜'98 世界グランプリ250ccクラス参戦/ '99 ヤマハワークスにて全日本スーパーバイク クラス参戦ランキング10位/ '00 全日本選手権スーパーバイク クラス ランキング10位/ '01 全日本選手権スーパーバイク クラス ランキング けがの為10位