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暮れ行く山並みとマシンのディテールが呼応する

'07 XVS1300A

私は根っからのバイク馬鹿? だと自負しており、半分冗談そして半分まじめに「ウイリーできないバイクはバイクじゃない」と普段口にしている。これはロードレースの世界に長くいたことから、正直アメリカンタイプのマシンは乗る機会も殆どなかったからであるが・・・。もちろんオフロード系もウェルカムだが、ここ最近はどんなカテゴリーもチャレンジする機会が出てきた。こういった時には往々にして新しい発見が多い。

低い重心位置

以前少しだけ試乗したXV1900の弟分ともいえるXVS1300Aが今回新たに加わった。常に緊張感を持って乗るスーパースポーツと違い、跨った瞬間”おおらかな気持ち”にさせてくれるXVシリーズは、ツイン特有の鼓動感が気持ちよく、"もっと遠くまでコイツとでかけたい"という気分になる。こいつの場合はライディング・ポジションひとつ取っても気構えることなく、走り出してしまえば兄貴分のXV1900Aよりも遥かに軽快感のあるフレンドリーな印象なのだが、なにより低い重心位置がもたらすアメリカン特有の安定感がリラックスした時間を提供してくれるからだろう。

「アリ」だろう

今回試乗したのはキャンディ・レッド。アメリカンの多くはブラックを基調としたシックなイメージが強いのだが、「これもアリ」だと感じた。確かにブラックの質感は重厚なイメージがあり、今で言うところの「チョイ悪」風という感じなのだが・・・いや偏見かもしれないが。少なくともアメリカンというカテゴリーの殆どはブラック・イメージであることは間違いないところ。そのぶん今回「目」にした model は新鮮に映り、深い色合いが日差しに輝いて見えた。 このカテゴリーはファッション性も重要視され、それと同時に乗り手のこだわり像が見え隠れする。もし手に入れたとしたら、「こいつ」のドレスアップや乗るときのファッションも同時にイメージしたい。”モーターサイクルに乗る”という行為に加え、チョットこだわったジャケットやパンツなど、思い入れとともに接したくなるはずだ。ゴミゴミした都内などでも、自分なりの「チョイ悪」ファッションを楽しむことで特別な時間を過ごさせてくれそうだ。

郊外へ出てみよう

でかいピストンが”ドッカンドッカン”働いている鼓動感はスーパースポーツとは一線を引くものの、発生する振動は心地良い気分を味あわせてくれ、意外にもスロットルに対する反応はダイレクトであることから、ついつい余分にスロットルを捻ってしまった・・・。改めて"食わず嫌い"だったなと反省する。そのエンジンも早めにシフトアップし、低回転域に発する「一発一発」を感じながら走ることで「こいつ」と対話しているような気持ちにさせてくれる。もちろん重量もそれなりなので、グイグイ走る感じではないが、それがアメリカン初心者の私には優しく感じられ、何だかギスギスした嫌なことを全て忘れさせてくれる相棒にも思えてきた。考えてみればスーパースポーツとは全く別次元。それが私に新たな世界を教えてくれたような気がした。突っ走るだけじゃないんだと・・・。

ここだけの話

実は今回狭い場所でUターンしようとしたと時、この難波「うかつ」にもバランスを崩して「おっとっと」となってしまった。XV1900Aの場合だったら・・・と正直ドキドキだったが。見た目以上に重量の差がもたらす性格の違いは歴然で、XVS1300Aの軽快感を与えてくれるフレンドリーな印象は、もしや?の時にも間一髪助けてくれることとなった。スタイルの好みは最も重要だが、このクラスの重量は無視できないレベル。実際の使用条件などを考えてチョイスする必要はありそうだ。

難波恭司プロフィール

1963年3月8日生まれ
'81 18才で草レースを始める/'83 ノービスライセンス取得/'85 鈴鹿4h耐久レース 3位/'86 国際A級昇格 ヤマハ契約/'87 TZ250の開発テストに携わりながらレース参戦始まる/'92 ファクトリーマシン TZM250開発テストに携わる、全日本選手権 初優勝 250cc/'96 GP500マシン開発テスト携わる/'98 代役としてWGPのGP500へ年間 5戦参戦 鈴鹿では予選2位 決勝5位/'02 現在はモータースポーツ普及活動など、モーターサイクルの「伝道師」として活動中。特に今年は'07YZF-R1でレース参戦を計画中。