ホームプレまぐ! > 藤原広喜のエンデューロ参戦記
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例年より多くのレースに参戦するために

ISDEへの日本代表ライダーとして選ばれ、今年は例年より多くのレースに参戦することを決め、迷わずJNCCエルニドへ申し込んだ。ここは津南、2年前に一度同シリーズで走ったことがあるコースだ。 これと言って特徴のないコースだが、ISDEのテストコースに似ている部分もあって練習に適したコースと思う。
今回のコースは前に参加したときよりも伸びていて、隣のエリアのMXコースをくっつけたレイアウトになっている。
土曜日は天気もよく、暑い。半分ぐらいコースの下見をして戻ってきた。コースは今までのエリアも工夫が凝らしてあり、テクニカルになっていた。天気も持ちそうだ。

宿へ帰って風呂行ったら長谷見さんがいて、ワールドモトクロス見に行った話や、そういうレースをライダーはもっと見て勉強しなければならないとか、力説しあってノボセそうになりながら、夕食へ。TOMOさん達と冗談を浴びせあいながら楽しいひと時。石井さんは、お店の名前になるぐらいBEER好きで、ガンガン飲みまくっていた。

部屋に戻りTVをつけると天気予報。

「今晩から明日午前中に掛けて雨でしょう。」

「うっ!!」

今回は、ISDEの練習とばかり、ムースタイヤ(チューブの代わりに入れるムース状のチューブ)新品を準備したのだ。

「やばい…」

ムースタイヤは履いていると、時間(1ヶ月単位)とともに痩せて細くなる。雨の日は古く細くなった物を使用するのが日本スタイル。新品は空気圧で言うと0.8Kg/cm3ぐらい、古くなると0.4Kg/cm3ぐらいの感じになる。
だから新品を使う今回は、雨が降ってもドライ仕様のタイヤセッティングと言うことでかなり滑りまくることが予想される。でも実際ISDEでは新品対応になると思うので、これでも走れるように慣れておかなくてはならない。順位はどうであれ、やるしかないのだ!!

小雨が降り続いているレース当日。

7時半からライダーズミーティング。コースのこと、注意事項など説明があり、その後チームメイトの高橋君とと私が前に呼び出され、ちょいとご挨拶。 FUNGP 95分が始まり、その後我々のCOMPGPが始まる。

まずは腹ごしらえ。この頃には雨も上がり、周回するライダーもそんなに泥をつけずに周回している。大変そうだけどね。
今回からUSA製ユートピアのゴーグルを使用することになっていて、これがカッコいい。
はじめから曇り止め、表がハードコートのレンズが標準装備。ロールオフもオリジナルであったりするのでスタート前から注目の的。

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左:これが新しいゴーグル、USA製ユートピア。 右:どれどれ、見せびらかしじゃ〜

そんなことをしていると、スタートのアナウンスが。
AAクラスは選手招介がある。昨年のAAGPでは30分以上かかっていて、モチベーションを維持するのが大変だったが、今回はスムーズにスタートまで進行が流れて行った。

日章旗でヘルメットタッチスタート。

ファンファーレが流れ、エンジンスタート。30秒、5秒前のボードが提示され、星野さんの日章旗が振り下ろされヘルメットタッチスタートだ。このJNCCシリーズはクラス毎の横一線の一斉スタート。昔のMXレースは、スターティングマシンも無く、殆どヘルメットタッチスタートだった。
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左:スタート前。スターティングマシンはない。右:小雨のコースに新品ムースは滑る!

このスタートのコツは、手をヘルメットに触っている状態で、フラックが振られると同時にエンジンの回転を上げつつ、ギヤをガツンと入れるのだ。そう、片手でスタート。
フロントが浮いた頃、手でハンドルを握られる状態。いちいちクラッチを握ってからギアを入れたんじゃ遅いからね。今のマシンは丈夫なもんで、1度や2度こんなことをしてもギアが壊れることもないしチェーンが切れることも無い。特に我々の使用しているチェーンはEKチェーン、江沼チェーンだ。軽くて転がり抵抗も少なく、伸びない。SUGO 2DEから東日本 2DEと、2日間レースを2回走っていて、今回までチェーン調整をしていなくてもビクともしない、とにかく丈夫でとても信頼性のあるチェーンだ。もちろんISDEに持って行くよ。

そんなスタートで、ホールショットはチームメイトの高橋君に奪われるも2位で奥に消えて行く。
高橋君、石井さんとでバトルしながら更に奥へ。石井さんが転倒しワンツーで1周目クリア。
2周目に入るとちょっと攻めすぎて、あっちこっちで転倒しまくり。今日は新品ムースを履いているからベストセッティングより滑る。滑るのに攻めすぎて転倒だ。そのうち転びすぎて疲れてくるし腕はあがるし、高橋君から大きく離されて行く。

単独2位で走行…。

単独2位どころか3位以降の集団に飲み込まれて2〜3周。途中小菅君とぶつかって転倒させてしまったりと、悪いやらどうすることも出来ないやら。
ピットからはサインボードで、トップとの差や、3位との差が表示される。暑くなってきたので、

「あきらめるな」

「がんばれ」

のサインが、奥様から出される。
最近はサインの出し方も板についてきて、なかなか的を射た内容が出される。厳しいときもあるがエネルギーが補充される感じがする。
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その奥様。何故か手にはみんなして小岩井おいしい牧場?回しモンかい。

1時間経過ごろから腕あがりも治まり調子が出てきた。スタートから1時間半、ガス欠寸前で給油。2時間経過ぐらいからまた転び始める。ライディングがラフになったからである。
乗れている証拠でもあるが悪い癖である。一部コースも荒れてきて、ほんの数台だがラインも狭く渋滞個所が出てきた。ここでもたもたしていると澤木君に抜かれてしまった。数周の間、この場所での順位の入れ替えが続く。こういうテクニカルな部分に関しては澤木君が得意としているようだ。逆に僕はスピードに乗らないところは苦手で、スピードに乗った部分が好きである。澤木君との抜くポイントはスピードに乗った部分になる。

勝負!!

コーナーでアウト側から抜き去る。本人が考えられない所で抜き去れば、精神的ダメージが大きいはず。

「うりゃ〜〜!!」

作戦通り離れていった。あとは渋滞ポイントまで逃げるだけ。この頃は腕あがりも解消し、体力も少し戻ってきて快調に飛ばす。

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左:いつもより高く飛んでおります。右:すべてはISDEにつながる練習なのだ。

ラスト1周のサインが出されラストスパート。気温が上がり、湿度もあり頭が痛くなってきたが何とかゴール。ゴールにはフィニッシャーズロードが用意され、みんなが出迎えてくれる。
左手でハイタッチしながら、ピットへ戻る。

あ〜気持ちいい。

これからのエンデューロを発展させるために必要なこと。

今年からゴール後すぐに暫定表彰がある。マシンを前に表彰式だ。ワールドモトクロスと同じ演出だ。汗かいたまま、興奮冷めやまぬ中での表彰。心憎い演出だ。
エンデューロ界(クロスカントリーなのでしょうが)も、このように華やかに演出を考えなければいつまでもローカルで、草イベントから脱出できないと思う。もっともっと華やかにしなければ今後の発展もないんだろうな。
これから必要なものは、主催者のプロ意識=プロ化。同時にライダーの意識=プロ化。どちらも誰もが認めるクロスカントリー(エンデューロ)しなければならないと思う。人知れぬ山の中で、誰も知らないエンデューロ(クロスカントリー)では悲しすぎるよね。

『えっ、エンデューロやってんの?あれ、すごいよね〜!』

なんて、見ず知らずの人に言われてみたいものだ。もちろん本当に凄いって言われるぐらいのレベルに、ライダーも主催者もならなければならない。それが出来てスポンサーが集まり、どんどん良い方向に向かうものと思う。がんばろうぜ!!
その1つがISDEのトロフィーチーム(日本代表)であり、GNCCとのタイアップなのだから。

総合結果

優勝 高橋 正人ヤマハ WR250F
2位藤原 広喜ヤマハ WR250F
3位澤木 千敏GASGAS EC250
4位吉川 和弘KTM 250EXC
5位佐藤 正和ホンダ CRF250
6位小菅 浩司KTM 250EXC
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表彰式。ちなみに9位の裕太郎は、罰ゲームで表彰式ではプレストの旗持ちじゃ〜

マシンセッティングデータ

    
タイヤ
フロントミシュラン コンペIV
リアミシュラン コンペIII
サスペンション
フロント全くのノーマル(減衰力調整も標準)
リア全くのノーマル(減衰力調整も標準)
いろいろやったけど、標準がベストだった。
ハンドル廻り
トップブリッジステルス製 高さ35mmのバーマウント
ハンドルステルス製 ランディーLOW
ハンドルガードアチャルビス
エンジン関係
エアクリーナーBOX右の横穴追加(クリーナーカバーを外すと「どうぞここに穴をあけてください「って感じに跡がついているので、そこをくりぬく)
AIシステム取り外し、穴を詰める。
キャブレタージェットニードル:ヤマハ品番 5UM-14916-BPに変更
スロージェット:ヤマハ品番 4MX-14948-03に変更
リークジェット:ヤマハ品番 #95に変更
スロットルストッパーヤマハ品番 5NL-14591-00に変更
その他標準
マフラートムス チタンマフラー
クランクケース内圧バルブコントロールバルブ
チェーンEKチェーン
クラッチ系HEBO油圧クラッチキット(凄く軽いっす)

次回は、VEGA月山に出場するよ。

藤原広喜プロフィール

1962年1月29日生まれ
岩手県一関市出身。'78 高校1年の時にミニエンデューロに初出場で初優勝!トライアルでジュニアに昇格/'82 にモトクロスデビュー/'83 全日本で2回優勝しノービスクラス東北チャンピオン/'84 全日本で2回優勝しジュニアクラス東北チャンピオン/'85〜'90 5年間で国際B級として東北チャンピオンを3回獲得。この間出身地に近い藤沢スポーツランド設立に協力/'91 国際A級昇格。エンデューロに初参加し「日高2Day'sエンデューロ」3位入賞/'93年からヤマハと契約し「日高2Day'sエンデューロ」で優勝。USA BAJA1000に出場するも残念ながらケガの為リタイヤ。しかしロサンゼルスで楽しい入院生活を送る。他にもエンデューロスクール、マーシャル、デモンストレーション等で活躍しながら、ヤマハ発動機販売(株)の普及活動、ライディングスクール藤沢スポーツランドの運営に協力/'95 「ISDE(インターナショナル6Day'sエンデューロ)ポーランド大会」に初出場し175クラス95位で完走/'96 「ISDEフィンランド大会」に出場し昨年同様日本人2名完走、125クラス46位でシルバーメダルを獲得。またアメリカ・ネバダ州で開催された「ペガスTOリノ」では5位入賞を果たす。/'97年、「ISDEイタリア大会」に出場し、125クラス86位でシルバーメダルを獲得/'98 WR400Fの普及の為、(株)プレストコーポレーション及びヤマハとライダー契約を結ぶ/'00 「ISDEスペイン大会」に出場、175クラス65位でシルバーメダルを獲得/'01からはWR250Fの普及の為(株)プレストコーポレーションと契約。またスポーツランドSUGOのオフロード部門に社員として在籍しSUGO 2Day's ENDURO などの運営に携わる/'06 初の日本代表チームとして「ISDEニュージランド大会」に出場、22カ国中15位、個人としてE1クラスで63位シルバーメダルを獲得