ホームプレまぐ! > 藤原広喜のエンデューロ参戦記
昨年参加したヤマハチャレンジエンデューロ。今回は昨年のWR250F '01モデルとの比較も交えてのリポートである。

まずはコースコンディション。今回は雪どけでマディだった昨年とは正反対のドライコンディションとなり、埃との戦いとなった。  「スタート位置はゼッケン順でーす」のアナウンスに、「いつも早いもの順なのにな〜」とブツブツ言いつつ、ビクツキながらもかなり前方に並んでスタート待ち(^^;)。周りを見渡せば、結構早いもの順で並んでいるじゃないの、と宗男撫で下ろす。もとい、胸を撫で下ろすだった(^^;)。

今回の様に埃がひどいコースコンディションでは、何よりスタートが肝心だ。トップでスタートを切れば視界はクリアで、何の支障も無く走れるのに対し、後方スタートとなると前走者の土埃で視界は極端に悪くなって、ギャップや木の切り株等が識別しにくくなるどころか、ひどい時には全くコースが見えなくなることすらある。埃のレースではスタートでその日の結果が決まると言っても過言ではない。だからこそスタート位置を大事にしなければならないのだ!

と言う事で、しっかりポジションを確保してローリングスタート。最初のコーナーに飛び込み、左足を出したら、イテテテテ!やべー、脹脛がつった!

日頃の運動不足か疲れが溜まっていたのか、なにもよりによってこんなときにならなくていいのにと我が身を呪いつつ、スタンディングで脹脛を伸ばしたリハビリライディング。
しかもこの先頭集団ときたら、順位を入れ替えながらマーシャルを「サクサク行かねぇと抜いちまうぞゴルァ!」という勢いであおりながら走る。たまったものではないのはマーシャルである(^^)。
裏山の轍で、トップを走っていた近藤有介(彼は練習中にある人からアドバイスを受け、素直に聞き入れ走っていたら、腰骨をハンドルに強くヒットし、キックをするのも大変な状態でこのレースに挑んで、更にそのアドバイスをチェックしながら走るんですと言っている、前向きなスバラシイライダーです)がつまずいている隙にトップになった。
ここぞとばかり"オラオラオラー!"とマーシャルのあおりを強め(おいおい)、計画通りトップでスタートをきる事が出来た!

その頃は脹脛の攣った状態も回復してほっとするのもつかの間、マーシャルの呪い(^^)か、今度は右の脹脛が攣ってしまった。イテテテテ!痛いっ!
こっちの方が状況はひどく、ステップの上でリハビリ運動をしながらの走行でも、治まるのに2周もかかってしまう。
 が、もちろん手は打っている。ここは煙幕作戦だ(^^)。必要以上に土埃を蹴立てて後続のライダーの接近を阻み、その間にひたすら逃げる逃げる!

そうする間にも、近藤選手はやはりヒットした腰骨が影響しているのか、徐々に後退。内山選手はステップが曲がるか折れるかした様で、修理にピットインしている。 こうしてライバルが次々に消えてゆき、結果は昨年に引き続き、WR250Fのワンツーフィニッシュ!かなり楽な展開で勝つ事ができたのであった。

WR250Fについて

さてレースを振り返ってみると、'02年型のWR250Fは'01年型と比較してマイルドになった感じが強い。マイルドと云っても鈍重になったのではなく、各部が洗練され扱いやすく、粘り強くなったという印象である。
端的に感じられたのがレース中のエンストだ。'01年モデルでは1回のレースで4〜5回はエンストしていたのだが、今回はゴールまで一度もエンジンが止まることは無かった。
4ストマシンに乗って5年目を迎え、慣れてきたものもあるが、WR250Fが単なるモトクロッサーのモデファイから、真のエンデューロマシンとして完成されつつある事が窺える。

エンジン特性

キャブセッティング
昨年までは中速域のセッティングが濃く、アクセルを開けていくと途中で"バフバフ"いって回転が上がらない状態になることがあったが、'02モデルではこの点が解消され、低速から高速までスムーズに回転が上がる様になった。
ちなみに'01年モデルでは、ニードルピンの段数を1段〜2段薄くすると、この問題をある程度改善する事ができる。
ただし極低速では、まだ少し濃い目に出ているかも知れない。この点については今後、更に乗り込んでセッティングが出たら、改めて詳しく報告することとしたい。

チョークとホットスタータ
外気温が10〜15度程度でのエンジン始動時には、'02年型ではあまりチョークを長時間使用しない方が良いようだ。
チョークを引いて1〜2回のキックは始動するが、チョークをそのままにして暖気運転をしていると4〜5秒ぐらいでプラグがカブり、エンジンが止まってしまう。どうもチョークが濃過ぎる様に思える。
エンジンがかかったら素早くチョークを戻し、あとはアクセルを軽くあおりながら暖気するようにしよう。言い換えればエンジンが始動すれば、チョークを戻してすぐに走り出せるということだし、ちょっと気を遣えば問題はない。
うっかりチョークを戻し忘れて始動に失敗してしまったら、迷わずホットスタータを引こう。濃くて始動しないのだから、薄くすれば簡単に始動するのである。
カブったからといってプラグを換える必要は殆ど無い。プラグを換えるよりはホットスタータを引いてキックした方が、短時間でエンジンをかける事ができる。何しろ私はWRに乗るようになってここ数年間、プラグを変えた事は無いのである。
エンジンの始動方法についてはチョーク以外同様なので、昨年のリポートを参照して頂きたい。

クラッチ
'01年モデルはスロー回転時に半クラ状態になると報告したが、エンジンオイルを150cc前後増量することで改善する事ができた。'02年モデルではクラッチの切れは改善されて良くなってたが、不安を解消の意味で昨年同様オイル増量をおこなっている。

マフラー
ノーマルマフラーは一般道ではさほど気にならないが、レースでは中低速域のトルクが不足気味になり、高回転を維持しないと走ってくれないので、YZ用のものに交換すると良い。
YZ用のマフラーは出力特性がトルクフルになり、低中速で楽に且つとても良くトラクションして、車体を確実に前に進めてくれる。また軽量化にも有効なのは云うまでもない。クローズドレースでは効果的なチューニングである。
オープンエンデューロでも、ノーマルよりも軽量且つ静かなタイプのマフラーが様々なメーカーから出ているので、交換してみるのも良いだろう。
私は軽量、パワー、価格、三拍子揃ったTOM'sのチタンマフラーを用意している。
但し高回転をキープして走らせるのであれば、ノーマルのままの方が良いだろう。

サスペンション

今回のコースはエンデューロでありながら、ウオッシュボードやジャンプがあったせいか、より柔らかくなった感があった。
ウオッシュボード(フープス)ではフロントが底突きし、YZのように攻めることが出来なかったが、これもまた裏を返せばモトクロスマシンのモデファイではなく、エンデューロマシンとして確立しつつある事が窺える。
このウオッシュボード以外ではサスペンションの動きがとても良く、自然に出来るギャップや轍を横切るときなど、キッチリと衝撃を吸収し、トラクションを発揮してくれた。
オープンエンデューロでは、最大の武器になり、楽に走らせてくれそうで、今から楽しみである。

セッティング自体も標準のままで何もしない方が良い。もちろん乗り手のの好みと走るスピード、体重など様々なファクターが絡むのでライダーそれぞれで違ってはくるが、国内のレベルからするとノーマルがベストセッティング。ジャンプやウオッシュボードが無い限り、柔らかい方が疲れないしトラクションを得やすいのである。

私の走りのレベルで前後とも圧側を強める程度で、それ以外する事無し!完璧である。

ハンドル

これはWR250Fに限らずどのメーカーも同様だが、幅が広すぎ、そして低い。
ノーマルのまま使用している人は少ない様に思うので、ここで一言。体格によるものの、基本的には幅は広くない方が良いと思う。よく「ドアのノブを正面から回すようにアクセルをひねりましょう」などと聞くが、幅が広過ぎればそれは難しいのはすぐ分かるだろう(手を前に出しやってみて欲しい)。
もっともよほど前傾姿勢を低く取り、肘を張ったスタイルじゃないと短いものでも無理になるが、そんなフォームで年中走れる訳ではない。

ハンドルのセッティングについて少々…
それではどの様にすれば良いか、私のセッティングをご紹介してみよう。
私の場合、絞りのきついハンドルを幅78cmに短く詰め、ノーマルより25mmアップしてセットする。これにグリップを付けた状態の幅を標準としている。
このセッティングにする事によりスタンディングポジションも楽に、シッティングでもドアノブアクセルが可能になり、より基本に忠実なライディングが出来るようになる。楽して走れるセッティングなので、一度試して頂ければと思う。

ハンドルポジションの善し悪しはレース後に出来る手の豆の位置で判断することが出来る。
(レース用)ライディングフォームによるが、豆が手の平の外側(小指側)に出来ていたらOK。内側に豆が出来ている人はハンドルがストレート過ぎると思われる。また手の甲で親指付け根の関節あたりに豆、又は皮が剥けるのは、ハンドルを手前に倒し過ぎの傾向がある。参考にして頂きたい。

この他には転倒時のダメージを考えてプロテーパーハンドルに変え、フォークのねじれ防止にWRAPトリプルクランプの使用など、色々気を遣っている。
ヨーロッパでも一流のライダーが最も気を遣っているのがハンドル、とにかく大事なのだ!
そう云えば先日のAAGPの時も、ランディーはハンドルだけは自分の物を持ってきて交換していた…。

車両バランス、その他

軽く扱いやすいのは'01年モデルと同様で、エンジンはよりマイルドに!3時間のレースで給油は1回。フューエルタンクがリザーブコック付になったのも嬉しい。
更にスイングアームの変更等によるソフト感、トラクションの増大と本当に年々良くなり、乗るのが楽しくて楽しくて"たまらん、とまらん"ってな感じである。
去年のリポートで指摘していたリヤのリム幅も2.15になり、あとは、シート高とセルスタータだけ。是非欲しいぞセル!皆で大きな声でリクエストしようではないか(^^)、セル!セル!セルモーター!

今回のWR250Fの仕様(ノーマル以外のパーツ等)

  • プロテーパハンドル(転倒時のダメージを考えたパーツ)
  • タイヤ 某メーカー試作品。もの凄く良い。
  • WRAPトップクランプ
  • プロテーパーハンドル
  • アシャルビスハンドルガード

藤原広喜プロフィール

1962年1月29日生まれ
岩手県一関市出身。'78 高校1年の時にミニエンデューロに初出場で初優勝!トライアルでジュニアに昇格/'82 にモトクロスデビュー/'83 全日本で2回優勝しノービスクラス東北チャンピオン/'84 全日本で2回優勝しジュニアクラス東北チャンピオン/'85〜'90 5年間で国際B級として東北チャンピオンを3回獲得。この間出身地に近い藤沢スポーツランド設立に協力/'91 国際A級昇格。エンデューロに初参加し「日高2Day'sエンデューロ」3位入賞/'93年からヤマハと契約し「日高2Day'sエンデューロ」で優勝。USA BAJA1000に出場するも残念ながらケガの為リタイヤ。しかしロサンゼルスで楽しい入院生活を送る。他にもエンデューロスクール、マーシャル、デモンストレーション等で活躍しながら、ヤマハ発動機販売(株)の普及活動、ライディングスクール藤沢スポーツランドの運営に協力/'95 「ISDE(インターナショナル6Day'sエンデューロ)ポーランド大会」に初出場し175クラス95位で完走/'96 「ISDEフィンランド大会」に出場し昨年同様日本人2名完走、125クラス46位でシルバーメダルを獲得。またアメリカ・ネバダ州で開催された「ペガスTOリノ」では5位入賞を果たす。/'97年、「ISDEイタリア大会」に出場し、125クラス86位でシルバーメダルを獲得/'98 WR400Fの普及の為、(株)プレストコーポレーション及びヤマハとライダー契約を結ぶ/'00 「ISDEスペイン大会」に出場、175クラス65位でシルバーメダルを獲得/'01からはWR250Fの普及の為(株)プレストコーポレーションと契約。またスポーツランドSUGOのオフロード部門に社員として在籍しSUGO 2Day's ENDURO などの運営に携わる/'06 初の日本代表チームとして「ISDEニュージランド大会」に出場、22カ国中15位、個人としてE1クラスで63位シルバーメダルを獲得