ホームプレまぐ! > 藤原広喜のエンデューロ参戦記
コンディションは雪解けにより、かなりマディ。このレースでは、1周目はマーシャル先導でのローリングスタートなのだが、そのマーシャルが転倒した為、トップを走っていた私が後ろとの距離を計りながら、マーシャル代わりに走行することとなった。2周目からマイペースで走り、後続を引き離して独走体制を築き上げ、その結果2位の同じプレストライダーWR250Fを駆る吉田選手以外全員ラップするという、完璧なレース展開で総合優勝。21世紀、初のレースはWR250Fのワンツーフィニッシュ!幸先の良いスタートとなった。

WR250Fについて

ぶっちぎりの独走優勝だったのが災いして?大きな競り合いもなく、レースについてはあまり細かく経緯として書くべき事がない。と云うと自慢の様だが(自慢です)、その分マシンの特性については冷静な見極められる余裕があった。そこで今回は、このレース中に感じたことを中心に、昨年末に同じこのレースの最終戦、YZ250Fでマーシャルした時との比較、また2ストマシンやWR400Fとの比較を交えて報告してみたい。
WR250Fの第一印象はとにかく軽いその走りだ。乗っていても楽しくて楽しくてたまらない。昨年末YZ250Fに乗って、車両の軽さ、特にフロント周りの軽さに印象を受けたが、今回の保安部品付きのWR250FでもYZ250Fと変わらない軽さがあり、それどころか保安部品が付いた事でバランスがとれ、かえってフロント周りが落ち着いた安心感を覚えた。
WR400Fと比較してみても、欠点であった渋滞でのすり抜けもWR250Fでは問題なく対処できる様になり、オープンエンデューロが期待できる。ただまだ、2ストマシンの方が若干有利のようであるが。

エンジン特性

パワー的には自分にとってはやや物足りないが、その分扱いやすいのでベストと言える。但し高回転をキープしないと早く走れないので、慣れが必要だ。また高回転を維持して走るのは、レース中の耐久性にやや不安に感じることがある。
今回のコースの中ではスネークの途中から登りきったあたり、大阪落としの登りきったあたりでオーバーヒートぎみになり、エンジンがバフバフいって、回転が上がらない状態に毎周なった。これらのセクションはかなりマディーで、2速で回転をのばし、3速につないで、空転させながら登るのである。
YZ250Fとの比較では、YZよりもマイルド感がありエンストもしにくい。YZはミッションもかなりクロスしておりMXコースには良いのだが、エンデューロコースになると1速はハイーギアード、5速はローギアードで低速は速過ぎて高速は伸びずとなってしまい、MX場のみのコースなら何とかなるが、オープンエンデューロには使えないだろう。
その点WR250Fはワイドレシオになっておりしっかり低速が効く。高速側もWR400Fには及ばないものの、MX用と中間程度のスピードは出るのでベストと思える。特性自体はWR400Fよりもマイルドになりエンストしにくいのは大きい。
エンスト時の対処方法も、WR400Fでは状況によってかけ方を変える必要があったが、WR250Fではホットスタータを使えば、多くても2〜3回のキックで容易に始動する。今回のレース中5回ほどエンストしたが、2回キックすればどの様な状況でも簡単に始動した。

エンジンの掛け方

冷間時
  1. チョークを引いてキックを2〜3cm降ろす程度、デコンブで上支点通過をさせキックを戻し、通常に力強くキックを踏み降ろす。普通の人なら簡単に掛けられる。
  2. 4〜5回繰り返しても始動しない場合は、チョークを戻してホットスタータを引き、同じ動作を繰り返すと2〜3回で始動する。
  3. これでも始動しない場合は1.を繰り返すがそれでも駄目な場合はキック力が弱いと思われる。
走行中のエンスト
いかなる場合でも、ホットスタータを使用すれば簡単に始動する。ポイントはギアはニュートラルにすること。これはスロー回転時のクラッチの切れが悪いことへの対応だ。
ひとつ不満だったのはクラッチである。回転が上がっている場合はきっちり切れるのだが、スロー回転時は半クラ状態になってしまい、その場合に留まっていられない。クラッチの機構上仕方ないのかも知れないが、舗装路で何気無くギアを入れたりすると、独りで勝手に進んで行ってしまう。もっともタイヤに抵抗があれば話は別で、レース中のマディーなセクションでの渋滞待ちのときは問題がなかった。

サスペンション

私の体重は68Kgあるが前後とも新車のまま、標準設定で問題なかった。リアサスペンションも1Gがかかった状態で、ちょうど100mmストロークするので、変更の必要なし。減衰力調整もかなり柔らかい方に振ってあるので、そのままのセッティング状態がベストと言える。
ただ私のセッティングの方向からすると、リアの戻りの減衰はもっと緩くして速く戻る側に広げてあって欲しい。しかしこんなにしなやかで柔らかくエンデューロにベストなサスペンションでも、ジャンプは全く問題がなく思い切り飛ぶ事が出来るのには感動した。

車両バランス

とても軽くて素晴らしいと言える。どちらかと言えばフロントが軽く、リア荷重タイプなのでトラクションも得やすい。気になるのは高過ぎるシート高と足付き性の悪さ。車高の高さは4ストロークエンジン故のシリンダーハイトが影響している様だが、出来れば2ストYZ250と同じ程度まで下げて欲しいと思う。このためコース上でのキックは、掛けやすいとは云え状況によってはかなりてこずる事になってしまう。体力の無い人にとっては致命的かも知れない。
その意味ではセルスタータの装備を、オプションで良いので設定を考えて欲しい。実際WR400Fが出た時に比べるとセルスタータの装備を求める声は少なくなったが、外車の4ストレーサーは全てセルスタータ装備になっている事を考えれば、あっても不思議ではないと思うのだが…。

その他

  1. リアホイールのリム幅は、現行の1.85から2.15に変更すべきと思う。これはエンデューロタイヤがモトクロス用と比較して太めのサイズしかないためで、もう少しリム幅が広い方がマッチする筈だからだ。いずれ機会をみて変更してみようと思っている。
  2. タンク以外に貼られているデカールやステッカーの接着力が意外に弱く、1回の洗車で全て剥がれてしまった。カラーリングを変えるには都合が良いのかも知れないが、せっかくのデザインが取れてしまうのはちょっと残念。
とにかく軽く、乗ってカッコイイし楽しいマシン。2ストマシンから乗り替えたり初めて乗るマシンであれば少し戸惑う部分はあるかも知れないが、すぐに慣れて誰にでも乗れる懐の深さを持っている、というのが、レースを終えての正直な感想だった事を付け足しておこう。

今回のWR250Fの仕様(ノーマル以外のパーツ等)

  • タイヤ ブリヂストン製 フロント M25 80/100−21(マディ用)、リア M60 110/100−18
  • ハンドル プロテーパ(ノーマルより高くセット)
  • UFOハンドルガード
  • ラヂエターに電動ファン2個取り付け(渋滞対策)
  • 破損パーツ 特に無し。保安部品も、レース後チェックしたところ、問題無し。

藤原広喜プロフィール

1962年1月29日生まれ
岩手県一関市出身。'78 高校1年の時にミニエンデューロに初出場で初優勝!トライアルでジュニアに昇格/'82 にモトクロスデビュー/'83 全日本で2回優勝しノービスクラス東北チャンピオン/'84 全日本で2回優勝しジュニアクラス東北チャンピオン/'85〜'90 5年間で国際B級として東北チャンピオンを3回獲得。この間出身地に近い藤沢スポーツランド設立に協力/'91 国際A級昇格。エンデューロに初参加し「日高2Day'sエンデューロ」3位入賞/'93年からヤマハと契約し「日高2Day'sエンデューロ」で優勝。USA BAJA1000に出場するも残念ながらケガの為リタイヤ。しかしロサンゼルスで楽しい入院生活を送る。他にもエンデューロスクール、マーシャル、デモンストレーション等で活躍しながら、ヤマハ発動機販売(株)の普及活動、ライディングスクール藤沢スポーツランドの運営に協力/'95 「ISDE(インターナショナル6Day'sエンデューロ)ポーランド大会」に初出場し175クラス95位で完走/'96 「ISDEフィンランド大会」に出場し昨年同様日本人2名完走、125クラス46位でシルバーメダルを獲得。またアメリカ・ネバダ州で開催された「ペガスTOリノ」では5位入賞を果たす。/'97年、「ISDEイタリア大会」に出場し、125クラス86位でシルバーメダルを獲得/'98 WR400Fの普及の為、(株)プレストコーポレーション及びヤマハとライダー契約を結ぶ/'00 「ISDEスペイン大会」に出場、175クラス65位でシルバーメダルを獲得/'01からはWR250Fの普及の為(株)プレストコーポレーションと契約。またスポーツランドSUGOのオフロード部門に社員として在籍しSUGO 2Day's ENDURO などの運営に携わる/'06 初の日本代表チームとして「ISDEニュージランド大会」に出場、22カ国中15位、個人としてE1クラスで63位シルバーメダルを獲得