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難波恭司のズバッとインプレッション2009 / XJ6N
クラッチミートし、10mくらい走ったところで感じた優しさ、「何だか随分昔に感じた感覚・・・なんだろう?」。これが第一印象だった。
 私は新しいバイクに試乗する前、あえて何も下調べをしない。また情報を求めない。せめて目視する程度に留める。これは何の先入観も持たず、あくまでも自分が持っている感覚だけで最初の印象を構築したいからだ。今回もタイヤの空気圧チェックだけで走り出した。その最初の印象が始めに触れた「優しさ」だった。
[難波 恭司:2009.2.26]
ナンバ的には黄色が好き

優しさに包まれた・・・

今度はSTDのハンドルポジションから若干手前に倒し、レバー類も好みのポジションに決めて走り込む。すると最初に感じた「優しさ」がだんだん明確になってきた。「あぁ! スチールフレームの恩恵だ」。ガッチガチのアルミフレームとは違い、柔軟なスチールパイプで構成されたフレームワークは、良く見ると凝った曲線でありながらデザインに「でしゃばら」ず、それでいて良い仕事をしているように感じた。
具体的には、高剛性フレームの場合、バランスを取る為に各部のパーツやサスペンションも高い剛性で組み合わされる。この乗り味は「シャキッ」とした素早い反応をみせ、ライダーの操作に忠実でダイレクトなハンドリングを作り出す。の・だ・が、その反面、タイヤと路面で起こっている全ての情報を伝えてきたり、路面の凸凹を忠実に伝えることからサスペンションのセッティングに苦労したりすることもある。サーキットなど路面コンディションが安定している場面では問題なくても、どんな凸凹があるか分からないストリートでは、忠実に伝えて欲しくない路面情報もあると言うこと。XJ6 Nの場合、この辺りの欲しくない情報を程好く吸収し、必要な情報だけをライダーに伝えてくれているような感覚で、まさしくスチールフレームの持つ利点を最大限引き出しているように思える。ちょっと前のスポーツバイクでも殆どはスチールパイプ・フレームだったわけで、ストリートで楽しむには決して劣っているとは感じられない。「昔感じた優しさ・・・」は、こういった所からもたらせていたのかもしれない。
左:操る楽しさはジェットコースターにはない 右:絶妙なフレームワーク

エンジンだって

ここ最近のスポーツバイクは、YZFシリーズなどのスーパースポーツから派生したモデルが殆どで、サーキットもガンガン走れる性能を譲り受け、ハイスペックなパーツを随所に奢って所有欲も満たせてくれている。が、このXJ6Nは先に触れたシャシー性能を含め、その根底から考えを改めたモデルだと言える。
最初に「クラッチミート・・・」と触れたが、実はこの瞬間から「おっ、変えたな」と感じた。今までのパラレル4、YZF-R6系スーパースポーツ譲りのエンジンは半クラッチの領域がやや少なく、ストリートでは若干扱い辛い傾向だったのだが、コイツは改善されている。エンジンのトルクも、アイドリング付近は「やっぱ600ccだな」と思わせるものの、2000rpmからは充分なトルクがあり、3000rpm付近になると「おぉ、スロットルに反応するねぇ」と、笑みがこぼれた。
左:変更になったクラッチ 右:クラッチカバーもお洒落に
左:エキゾーストはステップの下から 右:アンダーカウルは標準装備
こうなるとイジワルしたくなる性格の私は、600ccクラスが最も苦手とするシフトダウンなしでの加速、6速4000rpmからスロットルを開けて反応を見ると言う行為にでた~。ところがコイツは4000rpm付近から最も得意とする領域だったようで、そのまま加速度的にスピードを増していく芸当を見せ付けた。「やるじゃん」。っていうか、むしろストリートでは快適に感じる。
あまりにも従順なので、郊外のワインディングにも連れ出した。アップダウンの連続と、4輪ドリフト走行防止の連続する凸凹が施されている路面は、場合によってはバイクで走りにくく感じることもあるが、コイツはそんな不安感を感じさせず、しかも積極的なシフト操作をしなくても高いギアキープのまま安心して走る事が出来た。いや充分楽しめるので逆に驚いたくらい。
左:いつものワインディングがより楽しく♪ 右:街にも似合う