ホーム > プレまぐ!
難波恭司のズバッとインプレッション2008 / YZF-R1
バイク乗りを「ライダー」と呼ぶ。これは馬に乗る人も同じ呼称であり、その語源は馬とバイクを同類とみなしているからなのだろう。もちろん馬に乗る人を指す言葉が先だったのは当然だろうが…。
 馬を手懐け自在に操る。これはモーターサイクルにもそのまま当てはまるだろう。そしてどちらの場合も簡単ではなく、時間をかけてお互いを少しずつ理解し合うもの。これも同じく当てはまる。ポテンシャルが高ければ高いほど、上手く手懐けた時の達成感は感動を与えてくれる。考えて見れば見るほどモーターサイクルと馬は、全く同じ感覚だ。私は馬に乗った事は無いが…。

[難波 恭司:2008.6.7]
操る快感 (Photo by Takashima Hideyoshi)

スーパースポーツの魅力

馬の場合、サラブレッドから道産子など多数の品種があり、そしてまた同類にロバがいたり、ポニーがいたり、中にはラバだっている…そう、用途や扱う技量に合わせて色々な種類がいるということ。そしてシマウマはデザイン違いか?話が逸れた訳じゃないが、モーターサイクルも用途や技量に合わせて色々なカテゴリーが存在しているということも似ている。
言うまでも無くYZF-R1はスーパースポーツの王道である。馬で言うところのサラブレッドである。速さを極め、プロポーションは機能美に満ち溢れている。その美しさは眺めているだけでも引き込まれてしまう魅力的なもの。馬だって同じなのだろう。競走馬は鍛えられた骨格や筋肉がポテンシャルを感じさせる。そして人が持つ視覚や感覚は想像上に鋭く、見ただけでその日の体調やモチベーションをも感じ取る事が出来る。
YZF-R1の場合は人工的なマシンだ。しかしそこには開発プロジェクトに関わった人達の熱いメッセージが込められ、細部に渡り愛情が注がれている。だから美しいと感じさせるのだろう。眺めていても飽きない…。
左:4灯ライトはインパクト◎!! 右:ツインエキゾーストとLEDテールがR1さ

究極のスポーツ

一般市販モーターサイクルを使って争う「ワールド スーパーバイク」(SBK)カテゴリーがある。もちろんヤマハではYZF-R1が大活躍している。今年はこの(SBK)公式ホームページで、レースがLIVE放映されており、無料で観戦できる。しかもレース後、いつでもダウンロード観戦が可能であり、これは世界各国で開催されることから、時差に関係なく観戦できることを意味する。ありがたい…

SBK Official Web Site
http://www.worldsbk.com/pubb_EN/index.php

ここのページから「SBK TV」タグをクリックすれば、全てのレース、走行セッション毎に観戦する事が出来るほど大判振る舞いなのだ♪
先に触れたが、スポーツとは没頭する時間であり、これは競技者だけではなく、応援する側にとっても同じだと思う。お気に入りのチームや選手をリアルタイムで応援する時間だって、同じようにスポーツしていると言える。極限で争う姿は、見る者を引き付け、それはとても美しい姿だと感じるからなのだろう。
モータースポーツの場合、ライダーという「競技者」と「マシン」というアイテムが存在する。究極のスポーツで活躍するマシンが自分の所有するマシンと同じであれば、その感情はただ事ではない。これもスーパースポーツというカテゴリーの魅力だと言えるだろう。

どんな時間を提供してくれるか

モーターサイクルをチョイスする時、実は第一印象が大きな影響を及ぼす。私の場合は、何よりスタイル。自分のマシンと接する時間の殆どは、視覚的、触感的がもたらす所有感による満足感かもしれない。もちろん上手くライディング出来ればこの上ない悦楽をもたらせてくれるのは分かってはいるのだが…これは先に触れたように時間をかけていけば良い。
今となってはマシン性能が高度化され、どのメーカーも不満を感じるような状況は殆ど無い。YZF-R1などのスーパースポーツ系は、逆に細かい特性の違いがそれぞれの個性となり、オーナーとなった時にその個性を感じ取ることに悦びを感じたりもする。しかしポテンシャルの全てを堪能するには一般公道では不可能であり、これによりストレスを感じる事もあるのは事実で、これはどのメーカーのマシンでも同じだ。
スーパースポーツを所有するということは、ある意味最高のポテンシャルを所有するという喜びであったりもする。○○ラーリやポル○○などを代表する4輪の場合でも、常に最高ポテンシャルを発揮させて一般公道を走っている人はいない。あり得ない…。これは非日常の世界に連れて行ってくれるアイテムを所有する喜びでもある。言い換えれば、時と場所を弁えて振る舞うことで、紳士淑女的な自分を演出してくれるアイテムとも言えるかもしれない。
左:ひょいひょいっと、決まれば快感倍増 右:バックショットもセクシーでしょ? (Photo by Takashima Hideyoshi)

実際にサーキットに連れ出すと、こいつは生き生きとしてくる♪解き放たれた開放感とともに、先に触れた4輪を遥かに凌ぐ圧倒的加速力やトップスピード。操る自分を、忙しない日常から解き放ち、日頃のストレスをも吹っ飛ばしてくれる時間へと誘ってくれるのが「こいつ」なのだ。もちろんこの場合でもスポーツとして当たり前の秩序と、ルール&マナー厳守が大前提だが。
私はショップに集まる仲間たちとサーキットのスポーツ走行を楽しむ。しかしこの場合、全てをギリギリに切り詰め、タイムを削ぎ落とすのが目的ではない。それはまた特別の世界だからだ。
バイク仲間と過ごす時間は格別で、サーキットでスポーツすることで快適な汗を流し、ライディング談義に花を咲かす。一般公道では試せないライディングフォームの練習やライン取りなど、得られることは無限大であり、反復練習することでライディングに自信をもてるようになってくる。またお互いを評価しあったり、新たな課題を見つけたり、走れば走るほど奥が深いことを実感し、ここで得られたライディング スキルは必然的に一般公道で大きな余裕を作り出してくれる。だから仲間達とサーキットのスポーツ走行を楽しむのだ。
左:トラクションとはこういう事。リアタイヤに注目 ! 右:解き放たれる時 (Photo by Takashima Hideyoshi)

スポーツとは「没頭する」時間みたいなものだと感じている。これはどんなスポーツにでも当てはまるので、あながち間違ってはいないと思う。「没頭=集中」であり、ゴルフのショットを打つ瞬間であったり、テニスでラリーを続けている時間であったり、雑念の無い時間とでも言おうか、「夢中になる楽しみ」…これこそが非日常という時間を「もたらせる」理由なのだ。