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難波恭司のズバッとインプレッション2008 / YZF-R1

非日常の日常

スクリーン越しの景色は格別
モーターサイクルに乗る…ということは非日常かもしれない。しかし実際は日常的な世界でもある。休日に出かける郊外のワインディングは、サーキットと違い景色を眺めながら走る。しかし「ライディングしている」という事は危険を伴うことを意識し、決して気は抜かない。ひとしきり走ったところで、景色の良いパーキングへバイクを止めてコーヒータイム。もちろん仲間がいれば雑談に花が咲くが、他のライダーと出くわした場合も会話が始まる。初対面でも、同じような趣味を持つものとして心が通うからなのだと思う。自分の等身大で、気取らず交わす会話から仲間が増えることもある。そんな時間もバイクがもたらす良さだろう…。
左:路肩に止めて仲間を待つ 右:御伴はMT-01

今の季節、晴れた休日は気分が踊る。郊外のワインディングが気持ち良い風とともに迎えてくれるのを知っているからだ。先日、遅めの朝、ガレージからバイクを出して仲間の待つワインディングへと繰り出した。予報よりも晴れ渡り、とても気持ちの良い時間だった。立ち寄る「道の駅」ではサスペンションのセッティングをイジリ、そしてお気に入りの味付けを探す。仲間のMT-01は鼓動感のあるサウンドを響かせるが、コイツは躍動感のあるピックアップがライディングの醍醐味を助長してくれる。休憩ポイントでは会話にまた花が咲く。無理をせず楽しめば良いのだ。自分なりのバイクライフを満喫できれば…何も膝をするほど攻める必要は無い、力ずくでマシンを倒しこむ必要も無い、Uターンだって押してターンさせれば良い。そのほうが潔く、適切に状況判断が出来る姿がカッコ良かったりすると思う。自然体でコイツと付き合えば良いだけだ。そうじゃない?
左:パーキンぐぅ〜で、ひと休み 右:新緑は気持ちが良い

最大パワーの魅力は果てないが

一般公道では必要ない179PSかも知れないが、サーキットなどでは特別な世界へ「いとも」簡単に誘ってくれる「179PS、11.5kgf・m」というパワーとトルクは、充分に人の心を擽る。そもそもパワーって??
その昔、ケニーロバーツ(父)さんが1978〜1980年、YZR500で3年連続世界チャンピオンに輝いた時代、そのファクトリーマシンから絞り出されていたパワーが120〜130PS程度と言われる。扱い難い2ストロークエンジンであることや、タイヤのグリップレベルを含め、速く走らせる事が出来るのは特別な人に限られていた。ところが…
排気量も倍だけれど、「あの時代」を遥かに超えるパワーでありながら、アイドリングを超えたところから常用できるフレンドリーなエンジン特性となって現在に至っている。そして買える…時代の変化とは凄いことだ。「あの時代」に、この現在を誰が想像できただろうか?そんな夢のような世界が現実となっている気がしないでもない。

人馬一体の悦び

始めに触れた「馬」と「モーターサイクル」。いつの時代も人によって作られているともいえる。野生の馬を捕まえて手懐け、自在に操れる相棒として大切にし、サラブレッドや農耕馬などを作り上げた。そしてモーターサイクルの場合も、工業技術や新素材の開発により、過去に作る事が出来なかったものが製品化され、想像以上のポテンシャルをユーザーに届けてくれる。馬もバイクも、用途に合わせて使いこなす悦びを人々に齎せてくれる。高性能を操り、所有する悦びも人間だけが持つ快楽かもしれない。全くYZF-R1の奴ったら…。
左:R1の周りには仲間が集まる (Photo by Takashima Hideyoshi)