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難波恭司のズバッとインプレッション2008 / FZ6 Fazer S2
「どこかで見たことあるんだよな・・・」。ずっとそう思っていた。「ダヤン」だ。ダヤンとは「池田あきこ」さん著作の空想物語に登場する猫のキャラクターなのだが、つりあがった目が最大の特徴であり、見る角度で表情も変わる。こいつの顔に同じ印象を持ち、「そうそう !」と相づちを打つ人も多いだろう。
いきなり話が逸れたが、ここ最近のスポーツバイクはツインヘッドライトが定番化し、色々なモデルが採用する中で個性を主張するにはインパクトのあるデザインが必要。こいつの「顔」といったら、猫科の動物好きには魅力的に映りゃしないだろうか?はっきり言って、私は気に入っている・・・。

[難波 恭司:2008.4.19]
このアングルからのつり目はまさにダヤン!

ヤマハ・スポーツバイクシリーズのアイデンティティ

顔つながりで特徴なのは、こいつのヘッドライトのLowビームは片目しか点灯しない。ヤマハの600ccクラスには YZF-R6というスーパースポーツモデルもあるが、奴も同じように片目しか点灯しない。もちろんHiビームの時には両方点灯するのだが、知らない人が親切に「バルブ切れてるよ !」と教えてくれ、日本も親切な人はまだまだ沢山いて捨てたもんじゃないな・・・と思いつつ、一連のシステムを説明したりする。
またしても話が逸れたが、要するに600ccクラスのヤマハ・スポーツバイクシリーズのアイデンティティと言うことなのだろう。確かに対抗してくるバイクのライトが非対称に点灯していれば気になる⇒目立つ⇒ありゃなんだ?⇒ヤマハのバイクか♪ということだ。
今回マイナーチェンジで登場した’08モデルは、更なる質感アップを成し遂げていたのだが、これはカタログでは伝え切れていないと思った。細かいところはラインナップから「特徴」、「仕様・諸元」を見ていただくとして、ここでは日常的な使い方をして感じた内容を伝えたいと思う。
ロービームだと右側のみ点灯しているのがよく分かる。

カタログ以上

私はどんなバイクに乗ってインプレッションする場合でも、極力想定してあるキャラクターに見合った使い方で乗る必要があると考えている。だが、メーカー試乗会などでは一般公道でのテストが困難か、または「近場をチョロっと」というのが普通で、これでは充分な評価は出来ないと考える。だからこそ1000km ! という自分なりの評価スタイルを持っているのだが、さすがにNEWモデルが一気に登場する場合、全車両1000kmは困難を極める・・・。
前書きはこのくらいにして本題に入ろう。要約すると、FZ6-Fazer S2は価格に対する満足度が非常に高いものを持ち合わせていたといえる。それは私がストリートバイクに求める内容に見事に合致しているからでもあるが、それら全てが合格点を与えられるほど完成度が高かったからだ。また今回の試乗ではサーキット走行へ持ち込んでいない。それは’07モデルで体験済みであり、スーパースポーツ直系のエンジンを備えていることから充分なポテンシャルであることは分かっているから。それよりも日常的なストリートからツーリングを経てワインディングへと、とにかくどんなシュチエーションにおいても、そして長時間のライディングにおいても疲れを感じさせない。そして不満を感じさせない。これがこいつの最高の美点だと改めて感じたのだった。

いくつか上げると

あまり抽象的なコメントばかりでは伝わらないので、いくつか納得した点を触れてみよう。
まずはサスペンションなど乗り心地に関することだが、ボリュームのあるシート形状がもたらす疲労軽減効果は、実質3時間連続して走り回った長時間ライディングでも私のお尻は平気だった。これは私の尻が鉄で出来ていからではない。もちろん個人差があるので誰もが完璧かどうかは断言できないが、少なくとも私は平気だった。経験ある方も多いだろうが、日帰りツーリングの目的地付近でお尻が痛くなると、帰りは拷問?のような辛い思いをする。ちょっと左右にずらして見たり、ステップに立ち上がってみたり、結果として注意力が散漫になりやすい。ヨーロッパでは「今日はちょっとミラノまで」とか、「スイスの山岳まで」など高速道路が隣の国まで運んでくれることから距離を走る。必然的に疲れにくいバイクが求められるものなのだ。こういった日常を快適にしてくれるヨーロッパクオリティーを持つFZ6-Fazer S2は、バイクに乗り始めたら止まらなくなる私にとって重要ポイントなのだ。
ポジションも自然だし、長距離・タンデムでも疲れにくいと思う。
そして乗り味を左右するサスペンション。何の変哲も無い、また今となっては珍しいくらい調整機構を殆ど持たない前後サスペンションなのだが、これまた良く出来ている。普通ならば乗っているうちに「もうちょっとプリロードを」とか、「減衰力をこうして」など好みに合わせたくなるのだが、それが無かったのだ。強いて不満を言えばスピードの低い領域(40km/h以下)では少しゴツゴツ感があったこと。これはもう少しアベレージが上がれば同じ凸凹でも全く気にならなかったのと、もう少し距離(1000km程度)を走って馴染みが出てくれば改善方向だと思われる。とにかく前後サスペンションに関しては、バネレートや減衰力の設定が絶妙だといえる。
またこの乗り味を支えているのがOEM(オリジナル エクイプメント マニファクチャリング)採用されているタイヤ。バイクの持つ乗り味を占める大半はタイヤの特性が影響しているのだが、これもベストマッチ。一番嬉しかったのは路面にある轍や、進行方向に平行している路面の継ぎ目をスムーズに吸収してくれ、特に路肩にあるアスファルトの盛り上がりなど、バイクにとっては不安定になって恐怖を覚えるような場面でも、「ふらつき」が最小限に抑えられるので心強かった。これは体力に自信の無い女性にも歓迎されるポイントだ。