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難波恭司のズバッとインプレッション2008 / XV1900CU
チョッパーといえば、1969年のアメリカ映画「イージーライダー」を思い浮かべるのは、ある程度世間を渡ってきた世代だろう。アウトロー的な生活と、馬に変わる自由な乗り物であるモーターサイクルを題材にし、当時世界中の若者から絶大な支持を受けた。
 改めて「チョッパー」って何だ?と思ったのだが、単語からすれば単純に「斧」や「切断機」みたいなものを意味するはず。そこから何で?モーターサイクルが?なのだが、よく考えて見ると、前記イージーライダーに登場しているバイクは、無茶苦茶な改造がしてあり、フレームのヘッドパイプを切断して角度を変え、長〜いフロントフォークで考えられないほどのキャスター角とトレール量を誇る?もはやバイクとはいえないくらいの乗り物へと化していたと思われる。そう、フレームを「チョン切る」ところから付けられたのではないか?と、想像してみた。まぁこの話はこのくらいで、今回のXV1900CUである。

[難波 恭司:2008.3.7]
美と洗練の融合

メーカーが作ったチョッパー

モーターサイクルにおいて、キャスターとトレールは重要な意味を持つ。特に重量のある機種では、適切な数値に収まっていないと普通に乗ることすら不可能だ。またハンドリングを左右するタイヤの外径も、大きければ当然安定志向でありながら、回転する質量が大きいので鈍感な反応になることは否めない。よくあるアメリカン系のモーターサイクルは、一般的に外乱に強く直進性に優れるが、そのぶんハンドルに掛かるエネルギーが大きく重く、自由度が少なくなる傾向になる。もちろんこれらをバランス良くまとめてあるのが現在市販されているアメリカンタイプのバイク達だ。
それを更にワイルドなスタイルに仕立て、キャスターを大きく寝かせ前方にフロントタイヤを投げ出し、そして強力なエンジンを引っさげて登場してきたのが XV1900CU (CUSTOM) だ。「ど〜でぃ、俺のフロントタイヤ。イケテルだろっ?」っていうくらいマッチョな感じだ。

左:投げ出した前足が全ての主張 右:ワイルドと和の融合

ヨーク角の恩恵

聞き慣れないが、今回XV1900CUのシャシーには「ヨーク角」を付けるという手法で、ハンドリングの適正化を行っている。これは先に触れた長いフロントフォークによる極端に寝ているキャスター角と関係がある。通常のディメンジョンでキャスターが極端に寝てくると、必然的にトレール量も増える。これのデメリットは、オートバイはバンクして旋回するものだが、その際に自然とステアリングに舵角が付く。このときにトレール量が大きすぎると極端に切れ込んでしまう特性となる。しかも度が過ぎると低速時におけるそのエネルギーたるや凄まじく、普通の人の力では支えきれなくなるほど。これはキャスターとトレールが持つステアリング特性の慣性モーメントによるもので、極度なチョッパースタイルはモーターサイクルとして不自然なハンドリングに陥ってしまう。「こいつ」はその不具合に対しヨーク角を用いてトレール量を補正し、シャシー全体構成を適正化して自然なハンドリングを実現している。
 話は難しかったが、要するに長いフロントフォークは普通のモーターサイクルの常識では非常に乗りにくくなるところ、各部を補正して自然なハンドリングを実現しているということだ。事実、直進性は「アメリカンならでは」でありながら、高速でのレーンチェンジなどに対する反応は軽く、思い通りの反応を示してくれるので楽しさすら感じる。

包まれた空間に響き渡る