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難波恭司のズバッとインプレッション2008 / YZF-R6
'06に登場した先代YZF-R6(2C0)。スーパースポーツでの最高スペックだけでなく、先進のデザインで大きなインパクトを放ち、他メーカーの度肝を抜いたのが記憶に新しいのだが、今回その基本コンセプトを継承しつつ、更なるポテンシャルアップと、デザインの先駆者たる貫禄でよりスタイリッシュになって登場してきた。精悍なイメージは各部の作りこみやシェイプされた曲線、そして研ぎ澄まされたエッジの調和が強調されていることから美しくも感じる。

[難波 恭司:2008.2.24]
解き放たれるとき

あゃゃ? がっ、しかし!

普段はカタログスペックを気にしないのだが…最高出力を見ると下がっている?? スーパースポーツモデルなのに?? 多くのユーザーはこの数値に疑問を持つだろう。私も始めはそう感じたのだが、'07モデルとの差は僅か2PS程度。この程度ならば空気密度の関係で変化する「最大パワー = 冬 > 夏」の差以下だ。要するにプロライダーでも容易に体感できるレベルじゃないのだ。
それよりも、'07 YZF-R1で採用されていたYCC-I(ヤマハ チップドコントロール インテーク)がこのR6にも取り入れられた事のほうが大きなニュース。もともと少ない排気量でパワーを絞り出すのは困難を極め、必然的にエンジン回転数を高回転域まで回さざるを得ない。すると現在の技術力を持ってしても低回転〜中速回転域が頼りなくなってしまう傾向にある。サーキットのような使い方だけであればそれも許せるのだが、こいつの場合はあくまでもストリートバイクであることが基本。そしてもちろんユーザーの多くはストリートでの使用であることを踏まえると、常用回転域(ここでは5000rpm以下)でのエンジントルク、そしてスロットルに対する反応を充実させることを「ないがしろ」には出来ないと考える。
'07 YZF-R1 でも感じたが、中速域の充実はスロットルに対する反応が良くなることを意味し、バイクに乗る楽しさが増えることに繋がる。そんな期待を持ってインプレッションすることにしたが、実は私にとって歴代YZF-R6の試乗はサーキットだけだった。これもエンジン特性に関しての評価は物足りないはずなので、今回は主にストリート。しかも「スーパースポーツはそんな使い方はしね〜だろ?」と思われるようなシチュエーションを徹底的? (意地悪気味か?)にテストして見た。

お使いがてらランチタイム♪

いけるじゃん♪

まずはお使い…近くの郵便局へ。このとき思ったのは、さすが郵便局。ありがたいことに駐輪場が玄関前にあるんだね! 毎日配達ご苦労さまです。いや、やはり「ドア to ドア」の利便性はバイクならでは。都心でも2輪の利便性を理解して頂き、一刻も早く駐輪場を各所に配置して欲しいもの。もちろん利用する側のマナーも大切だけどね。あぁ! インプレッションしなきゃ…
あえて街中をウロウロして見たのだが、交差点を左折、信号で止まり、青になって直進、右折レーンにて停止し、矢印が出て右折。普通じゃない? 予想に反して普通に乗れるだけじゃなく、スロットルを開けて加速する際、ヘッドバイプを貫通している吸気ダクトから吸気音が共鳴し、なんともレーシーなサウンドを奏でてくれるじゃない。そしてやや狭い路地を走ると、独特なエキゾーストまで反響してくるので、右手のアクセルを通して「こいつ」と語りながら走っている気分になった。乗り味もハードなサスペンションながら不思議と不快感までいかない。
普段はR1ばかり乗っている私ながら、今回改めてR6をストリートで乗ってみた比較だと、交差点の倒しこみの軽さに通じる全域で軽快感のあるハンドリングは「応答性 = R6 > R1」でR6に軍配が上がる。僅かな車重の差なのだが、いざ動き始めると全てが慣性力となって増大してしまい、結果として重量以上の差として乗り味に影響してくる。軽さは最大の武器でもあるわけだ。
エンジンに関しても、3速4,000rpmからスロットルを開けたときの反応は、2C0モデルより明確な反応を示し、圧縮比アップによる恩恵は確実に体感でき、この辺りもバイクが軽く感じるのに貢献しているようだ。ただストリートではエンジンのポテンシャルを20%程度しか味わうことが出来ず、ショッピング街やオフィス街は数時間滞在しただけで、そそくさと立ち去ることにした。

左:スクリーン越しのストリート 右:峠の茶屋

やっぱこれだね

街中から郊外へ出かけて見た。街中の雑踏から抜け出すと生き生きしてくる。街中での使い勝手は悪くないが、お買い物して荷物を積んだりするのは得意としない。当たり前だが、スーパースポーツは走ってナンボなのは揺るぎ無い事実だろう。
交通量の少ないワインディングでは、街中で感じていたクイックな反応が増強され、リズミカルな切り返しを容易にしてくれる。もちろんストリートなのでオーバースピードは厳禁だが、ついつい連続するツイスティな道を求めて郊外を走り込んでしまった。
心地よいのはシフトダウン&アップを繰り返すワインディング。繋がりの良いミッション・ギアレシオを駆使し、アクセルを合わせる度に奏でる吸気サウンド、そして回り込んだタイトターンが気持ち良く決まり、加速していく時のエキゾーストサウンドは、R1よりも常に高回転域を使うR6だからこそ心地良い。R1だと殆どが1速か2速しか使えないからね…。