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YZF-R1との日々
昨年末 ’07 YZF-R1に試乗したとき、私は心を揺れ動かされる心境に至っていた。それはスタイルから受けるインパクトだけでなく、実際にコイツと過ごすバイクライフが具体的にイメージとして沸いてしまったからだ・・・。それは以前の試乗記事の最後に触れている「この娘(こ)なら・・・」というフレーズに凝縮されているが、要するにサーキットでのスポーツライディングに最も適したアイテムであり、意のままに操る楽しさを最高のポテンシャルで味わうことが出来る → レースへの誘い(いざない)?として心が躍ったのだった。【Vol.1 | Vol.2 |Vol.3】

[難波 恭司:2007.12.1]

複雑な思いとともに、ついにこの日が・・・Fisco (富士スピードウェイ) サタデーロードレース JSB 1000

Norickとともに…

辛い出来事は…

実はとても複雑な心境だった。いや実際参戦を止めようとも考えた。それは多くの方がご存知だと思うが、阿部典史選手が交通事故で他界してしまったことで、信じられない気持ちと何も言葉に出来ない放心状態に陥り、苦楽を共にしてきた仲間が突然いなくなってしまった現実を理解できないでいたからだ…。事実を理解できるまでは暫く時間が掛かる気がしている。今はただ彼の御冥福を祈るしかないが…
告別式を終え、私は多くの仲間と再会しながら考えた。彼が愛したモータースポーツは多くの人に感動や夢、そして希望を与える素晴らしいスポーツであることは携わったものならば誰でも分っている。彼はそれをより多くの人に伝え、そして次の世代に継承していくことの必要性を感じ、率先して活動していた。これは私も全く同感であり、そんな会話も過去何度もしたことがあった…そんなことを思い出していると、「ここでレース参戦を止めちゃいけない」と改めて思い、また私のレース参戦に関しては彼にも話をしていたことなど色々な思いが交錯する中、「富士のレースには予定通り参戦する!」レースまで2週間を切ったある日、私は仲間たちにそう告げていた。

しかし天気が…

金曜日の前日練習は予報どおり雨&霧。今年新生富士スピードウェイ初開催となった4輪のF1グランプリでの出来事が記憶に新しいところだが、これは昔から「低気圧通過時のFisco名物」なので致し方あるまい。そもそも今回は私のパワーも及ばないほど、「大勢の雨男」が集結することになっていたからでもある。
R1初めてのレインタイヤ走行は、いやレインそのものも5年ぶり!だったので、何より慎重に練習とテストを進めた。今回のレース参戦ではマシンのカラーリングも一新し、ヨーロッパ向けデザインの白/赤にチェンジした。国内ではあまり馴染みがないので新鮮な気がする。綺麗だ…これを壊すわけには行かないので、いつもより慎重にもなっていた訳だ。
霧が酷いんだよねぇ…
Fisco のウエットコンディションは、雨の具合で大きく変化する。路面のグリップはそれほど悪くないが、雨の量が多くなると広いコース幅が影響するのか?水幕が厚くなり、ハイドロプレーニング現象に見舞われやすい。特に川が出来やすい2コーナー過ぎの直線区間や、高速の300Rはホイールスピンが起こりやすい。それより他のライダー達のタイムはどのくらいなんだろう?レースへの「リバイバル・ルーキー」としては気になるのだが結局分らないまま。何より自分自身がレースに集中できるよう、全ての不安感が取り除けるようにセットアップ、そして雨予報のレースへ向けてのマシン整備に時間を費やした。
左:車検へ向かう 中:車検中 右:予選は早めに切り上げ

そしてレース当日

レース当日の土曜日は、誰が依頼したのか?急に発達した台風の影響でさらに強い雨…予報によると、この台風のトップスピードは75km/hという猛スピード。たどるコースもこちらに向かっているとか…GOの奴…(独り言)。
朝8時25分から15分間の予選がスタート。朝早いライディングは久しぶりだったので、身体を目覚めさせるためにストレッチングを念入りに行う。もちろん身体を冷やさないようにレインスーツを着込み準備OK!
いよいよ…あれっ?あまり緊張は無い。全ての準備に自信があったからかも知れないが、ライディングに集中できる。そしてコースイン後、路面状況を確認しながらペースを上げていくが、サインボードが示すラップタイムと順位表示は「P1」。2周続けてP1を確認したところでアタックを止めピットに戻った。その理由は予選で使ったレインタイヤをそのまま決勝レースで使用するためで、初めに触れたとおり大雨の富士はハイドロプレーニングが起こりやすく、台風の接近で雨脚も更に強まる可能性を考えると、レースタイヤもなるべく良いコンディションでスタートしたかったから。そして予選結果は選手権でチャンピオン争いをするライダー達を辛うじて押さえ込みポールポジションを獲得!これで周りのテンションは上がり気味の中でレースを迎えました。
左:ヘルメットリムーバーを装着 右:レース出陣前