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取材車を買いました(自腹で)。
難波さんや藤原さんなど著名な方からのリポートがない時の埋め草として、気づいたことをちょっと書く、くらいのつもりでスタートしたプレまぐ!エディターズコラム。ところが意外に取材やら何やらで大変だった。
[弓削 時保:2007.8.11]
6月一杯お借りしていたFZ1。取材車としての使い勝手の良さでかなり気に入っていた。

取材車がない悲しさ

プレまぐ!を書かせて頂く様になってそろそろ3ヶ月になる。ホームページのリニューアルに合わせて

「サイトの更新頻度が少ないのは良くないので、何かコラムでも書きましょう」

と、賑やかし程度に考えて始めたコーナーだったが、やり始めると調べなければならない事も数多く出てくるし、取材もせねばならずそれなりに忙しい。
そんな中で困ったのが取材車だった。大昔にはGX750とかSR500など、一応大型免許を要するヤマハ車を所有していたことがあるのだが、残念ながら今現在手持ちにはヤマハの大型車がない。まさか他メーカーのバイクに乗って取材に行く訳には行かないだろう。あ、あとRZ125があるが、これまた…。
プレストコーポレーションにお願いして特別に広報車をお借りすることはできる。以前記事の中に出てきた'06 FZ1が実際そうだったのだけれども、雑誌の取材やイベントなどで使ううちの1つだから、借りっ放しと云う訳にはいかず期間が限られる。もちろんいじったりもできない(サスペンションはいじりましたが)。
1台何か新車をおろせれば良いのだが、プレまぐ!にそんな予算がある訳でも、僕自身これで儲かっている訳でもない(笑)。
しかも「買うならYZF-R6だなァ」などと全く実用性を鑑みないで妄想を思い描いている僕にとっては『「乗りたいバイク」≠「取材で使えるバイク」』であって、予算があったとしてもこれはさすがに選択ができない。
バイク選びはある意味で恋愛と同じ様なものだから、一目見てズキューン!と来るマシンに出会えれば、それはもう乗りやすかろうが乗りにくかろうが、足が着こうが着くまいが、実用的であろうがなかろうが関係ない。アバタもエクボと云うかもうそれしか目に入らなくなってしまう。でしょ?
だからズキューン!と来た僕にとっての「マイベスト」、YZF-R6以外のマシンでとなると、今度は逆に非常に冷静かつシビアな見方になってしまう。新車ですらそうなのだから、ましてや中古車は…、何しろ毎年さらに新しく魅力的なマシンが出て来るのをずっと見てきているのだもの、冷静に判断してしまうと、ど〜う考えたって新しい方が良いに決まっている。「予算がないから」と中古車雑誌を当たってみても、値段と比較して考えるとつい「…。」となってしまうのだ。

オークションで見つけた"ヤバい"バイク

先日の長野県・伊那で開催されたサマーフェスティバルで先導車として使うため、かの'06 FZ1を返却して以来取材に使えるマシンがなく、そんなこんなでさてどうしたものか…と考えていたのだが、ある日曜日、何気なく某オークションのページを眺めていて手が止まった。
それまでもたまにプレスト扱いの逆輸入車の中古をあれこれ考えながら検索していたが、割高に感じるか現行機との比較で不満を覚えるかのどちらかで気に入ったものがない。
参考まで私の好みからすると、コンセプトと開発の思い切りの良さで初代のYZF-R1、比較対象がない変わったバイクという意味でGTS1000とSZR660に興味があるのだが、どれも「無い」か「高い」かだ。
だがこの時目に止まったのはプレスト車ではなくもっと古い国内向けのマシン、FZ750だった。予備検付きで20万円を切る値段で、見ればオークション終了10分前というタイミングだ。
FZ750は今日まで連綿と続く5バルブエンジンの始祖を搭載した、ヤマハスーパースポーツにGENESIS思想を取り入れた第一弾。
発売当時僕はまだ大学生でホンダのナナハンに乗っていたのだが、この時は本気で買い替えを考え見積もりまで取った。残念ながら貧乏学生に最新の新車は予算的に厳しく、結局それは成らなかったのだが、それだけにFZ750にはその後も憧れがあった。

さてどうするか。

残り時間は既に5分を切っている。写真を見ると妙に綺麗で、全体に艶出し剤を吹いて仕上げてあるっぽい。転倒傷も見受けられるしそもそも22年も前の車両でこの値段なのだから、完調である事などあり得ないだろう。説明にも
    「異常・異音は現在ありませんが中古未整備車です。」
     「それなりの整備余地はあるものとお考え下さい。」
     「現状状態で『走って曲がって止まる』最低限のチェックしかしていません。」
     「各部点検整備・各油脂類の交換等は必ず行ってください。」
とあり、どういう物かほぼ想像はつく。但し現状についての説明はかなり誠実に書かれているようで、それを読む限りそうひどいものではないようだ。また出品者の住所も比較的近いので引き取りに行く事も可能だろう。

元々惚れたバイクである。ここで『頭の中の「冷静に判断」するリミッター』が壊れた。で「1回だけ入札してみよう、駄目で元々」と最低単位で上回る分の金額を入れて入札してみた。より高い金額で入札が入っていれば、自動的に抜き返されるはずである。その時にあきらめよう。
ところがその金額、1,000円高いだけが通ってしまった。しかも再入札してくる気配がない。前入札者は質問欄など見てもかなり買う気満々の人なのだが…。軽い気持ちで入札しただけに結果に慌ててしまう。
そうしてあっと云う間に延長された10分が過ぎ、何とそのままこのFZ750を落札できてしまった。良かったんだか悪かったんだか、必要だったんだし取り敢えず走ればまぁいいか、と思うものの、微妙なところで素直に喜べない。だいたい取材車として国内モデルのナナハンで良いものかも分からない。