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緑の中に溶け込む、威風堂々たる建物がお出迎え

後ろ髪をひかれながら、「桐屋夢見亭」をあとにし、本日の宿である会津東山温泉の「向瀧」を目指す。いにしえ夢街道を南へ進み、東山通りを左折。温泉街に入ってさらに奥へと進むと、緑の中に溶け込むように立つ千鳥波風の豪壮たる建物が見えてくる。川の流れる涼しげな音、心地よい葉ずれの音を耳にしながら、近づいていくときに感じる胸の高鳴りは、バイクだからこそ。これからのひとときに、期待が高まらずにはいられない。


名宿の自然美と伝統美のみごとな融合に感激!

到着した我々を迎えてくれたのは、6代目になる社長の平田裕一さん。扉が取り除かれた玄関に清々しい風が吹きぬけ、長時間のツーリングで疲れた体をやさしく包んでくれるようで心地よい。
客室へと向かう途中、廊下から見渡せる中庭を目にして、思わず足が止まる。山の傾斜に沿って立ち並ぶ木造数寄屋建築の客室棟と艶やかな緑が溶け合い、なんとも風情豊かな光景をつくり出しているのだ。弓削さんと将子さんのふたりも、あまりもの美しさに言葉も出ないようだ。
こちらの宿の創業は明治6年。会津藩士の指定保養所だった当宿を平田家が管理することになったのがはじまり。それから江戸、明治、大正、昭和、平成と少しずつ手が加えられているものの、昔ながらの会津の伝統建築と江戸の伝統技術は今も大切に受け継がれている。平成8(1996)年には、国の有形文化財に指定された。そんな歴史ある建物の中をじっくりと歩くのも、この宿の楽しみのひとつだ。
5月下旬〜10月頃までは玄関の扉が取り除かれ、オープンエアになっている
自然林を活かして滝や築山、池を配した約三千坪の回遊式日本庭園。しっとりと艶やかに光る廊下が長い歴史を物語っている

職人魂が散りばめられた客室でくつろぎ、
歴史ある名湯に浸り、身体の芯から癒される

館内の階段も中庭と同様に、自然を壊すことのないよう山の傾斜に沿って造られている。今回宿泊する予定の客室は、曲がりくねった階段の上。昔ながらの落ち着いたたたずまいの和室だが、部屋のなかをよく見ると、品のある繊細な障子格子や半円形の窓など、細かいところに職人の技が効いていて心憎い。
お茶をいただいてひと息ついたら、さっそく待望の温泉に繰り出すことに。ツーリングといっても、やはり旅に温泉は欠かせない。この湯があるからこそ、ツーリングをする意義があるといっても過言ではない、はず。
こちらの宿には、会津藩士の指定保養所だった湯を受け継いだ「きつね湯」、ややぬるめに設定している「さるの湯」、貸し切りできる家族風呂が3カ所ある。ふたりで一緒に温泉に入るなんて楽しみもあるけれど、今回は残念ながら兄妹なので、弓削さんは寂しく一人で家族風呂、将子さんは「きつね湯」へ。「こぢんまりとした大きさの湯船が一人にぴったりで、くつろげましたよー」と、弓削さんは負け惜しみなのか、一人でよかったということを強調。将子さんは「クセのないお湯で肌ざわりがやわらかくてびっくり!」と、おふたりともご満悦。
窓際のソファでくつろぐふたり
硫酸塩泉の源泉100%かけ流しで、加水・加温などは一切していない。きつね湯の天井には、ヒル石を使った彫刻が刻まれている。趣深いだけでなく、水分を吸収して、湯気の滴りを防ぐ効果があるそう
向瀧の美しさはこれだけでは紹介し切れない!ので特別に写真を追加(クリックするとウインドウが開きます)