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バイオガソリンってどうなんだろう?
この春試験導入が始まったバイオガソリンをご存知だろうか?「植物生まれの燃料をブレンド」「環境にやさしい」等、地球温暖化が深刻な問題としてクローズアップされつつある昨今、ちょっと気になる存在だ。実際どんな物なのか、入れて試してみました。
[弓削 時保:2007.6.29]
石油連盟のホームページ。バイオガソリンについて詳しい情報が掲載されている。[http://www.paj.gr.jp/]

今年春から首都圏で登場しているバイオガソリンとは?

バイオガソリンは、今年の4月27日から東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏50ヶ所のガソリンスタンド(以下SS)で販売を開始している。
 しかしこのバイオガソリン、植物由来のエタノールを原料とする成分が混合されていることは分かっても、それがどう「環境にやさしい」のかが今一つ良く分からない。「石油の使用を減らすから」とか「植物から作られるアルコールだからクリーンそう」とか、語感から間違った捉え方をされている場合も少なからずあるようだ。
 まずは「環境にやさしい」の意味を調べてみる。石油連盟のホームページによれば、バイオガソリンとは
    とうもろこしやサトウキビ、草木など植物から作られるエタノールと、石油系ガスの1つイソブテンを合成したエチルターシャリーブチルエーテル(以下ETBE)を添加したレギュラーガソリン
となっている。
このETBEというのは、簡単に言うとオクタン価を上げアンチノック性を高めるガソリン添加剤だ(これの仲間がメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)で、こちらはハイオクガソリンの無鉛化に際し鉛に変わるオクタン価向上剤として新しいハイオクに添加され、コマーシャルなどでも「MTBE」のフレーズが使われたりしたので、割と聞いた事がある人も多いのではないか。ちなみに名前の通り、こちらはメタノールを合成して作られている)。
そして添加されるETBEの植物由来の「エタノール」の部分、これが全体の3%となっているのが日本のバイオガソリンということなわけだ。
なお何故3%かというと、かつて存在したより高濃度のアルコール燃料による実験ではアルミニウムや燃料パイプなどゴムを腐食させる恐れがあるとされ、2003年に改正された「揮発油等の品質の確保等に関する法律」によってガソリンへのアルコール等の混合許容値は「エタノールは混合率3%まで、その他含酸素化合物は含酸素率1.3%まで」と定められたことによる。要するに「3%までだったら従来のクルマに入れても問題ないですよ」ということだ。
ちなみにアメリカなの海外ではエタノールが10%の「E10」、15%の「E15」、そしてエタノール85%の「E85」などがある。それゆえ日本の「3%(E3)」というのが多いのか少ないのかは何とも言い難いところだけれども、安全性を考えて日本ではまぁこんなところに落ち着いたのだ、と考えておこう。
石油連盟ホームページより。植物由来のバイオエタノールと石油由来のイソブテンからETBEが生成される。

二酸化炭素排出低減のしくみとは?

話を戻す。燃料を燃やしてエンジンが動く以上、植物由来だろうが化石燃料由来だろうが二酸化炭素の排出量に違いはない。では何が違うかと云うと、植物由来の燃料を燃やした場合、次の世代の植物が成長する際、排出された二酸化炭素を光合成により吸収してくれると考えられる。ここが化石燃料と異なる部分で二酸化炭素の排出は「差し引きゼロ」となる。これをカーボンニュートラルといい、これこそが地球温暖化を防ぐ「環境にやさしい」部分なのだ!
…と力を込めたものの何となく…ソロバン勘定の数字合わせっぽい感じがなくもないが、これは1997年に締結された国際条約「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」、通称「京都議定書」で日本は2008年から2012年には1990年比で二酸化炭素排出量換算6%減らす、という差し迫った目標がある中で、特に自家用自動車による二酸化炭素排出量の増加はマイナス6%どころか+50%以上にもなって大きな増加要因だそうだ。それだけにバイオガソリン導入による対策も焦眉の急であったらしい。
これも石油連盟ホームページより拝借。CO2の排出と吸収で循環しているのが分かる。
ところでバイオガソリンについては批判も少なくない。ニュースでも取り沙汰されているのが穀物価格の急騰だ。原料となるトウモロコシの高騰ばかりでなく、エタノール生産のためにそれまで大豆やオレンジを栽培していた耕地を転作し、結果それらの収穫量が減って価格が高騰する、ということが起きている。
発展途上国では食べる物が高くて買えなくなる一方で、先進国でクルマを走らせるための燃料を栽培するというおかしなことになっているわけだ。
またこうした国々で生産したエタノール(またはその原料)をはるばる日本などまで運んでくるのに相当量の燃料を使っていて、トータルでの二酸化炭素削減になっていないと云う説もあるそうだ。輸送でボンボン二酸化炭素を出してどうする。こうした点については確かにもっと深く考えねばならないだろう。

しかし批判ばかりして手をこまねいていたのでは物事は何も進まない。当面こうした問題は続くだろうが、まずはやってみることも大事なのではないか。穀物価格の急騰にしろ輸送による環境負荷にしろ、まだ始まったばかりなのだ。1つ1つ不都合を解決して行く努力こそが今は大切なのだと思う。
なんか綺麗にまとめちゃってますが。