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オーナーが感じたところが知りたかった

次にYZF-R1の'06、'07モデルの比較を敢行。大阪でヘルメットからウェアまで50th記念モデルにビシッ!とコーディネイトさせていたオーナーの'07モデルへの感想、それは
    走り出してものの数メートルですぐに分かりましたよ、'06とはフロントの入って行き方が全ッ然違います。オーナーとしては正直かなりショックでした。
というもの。オーナー自身の魂の叫び(笑)だったから、その感想はとても印象に残っていてぜひ追体験してみたかった。
 見た目には'06と'07、そんなに違わないこの2台、最初に乗ったのは'07モデルの方。シート高はカタログ値ではどちらも835mmで全く同じなのだが、足付き性は明らかに'06モデルより高く感じる。その違いは足付きリポートでも解説している通りシート幅。でもどちらかと云えば'06モデルのシート幅の絞り込み方が尋常じゃなかっただけで、これはごく普通のレベル。
 先導車付きのサーキットでの試乗では、走り出してみればいいトコ取りの快適さばかりで僕なんぞに文句を付ける点など微塵もない。シュオーン!と綺麗に吹け上がるエンジン、路面をガッチリ捕え吸い込まれるように曲がって行く車体。
 何しろあの難波さんが絶賛しているのですから間違いがない(しかも会場でのトークでは今年はR1でレースもやるなんて言っちゃってた。マジすか)。
左:大阪会場でインタビューに応えて下さった50thモデルのオーナーさん。
右:初代から4つ数えた5代目となる'07 YZF-R1、造形の美しさは他のSSより一枚上手だと思う。

驚愕の事実はこのあとすぐ!

戻ってくるとそのまますぐに'06モデルの待機列に並ぶ。今回試乗会には比較用に'06モデルも2台用意されていたのだが、新型に劣らず人気が高い。やっと順番が回ってきて跨がった瞬間の感覚は先程のシート!改めて感じるその絞りっぷり。ハンドルが低いことを除けばバックステップであることも手伝ってFZ1よりも足付きがしやすい。「あ〜'06ってこれだよね!今までのどれよりも足着くじゃん」ってそういう感じ。何と言うかあくまでストリート重視を如実に体現していた部分…、安心感がある。
そして走り出してピットロードからコースに入るまでに、あのオーナーの言葉の意味を実感することができていた。別物って良く云うけれど、もう「何これ?全ッ然違う!」
確かに切り返しの感覚が'07の方は明らかに軽く感じる。'06も充分に速く思っただけスーッとバンクしてピタッとアングルが決まるのだけれど、それが何割か増しでスッピタッ!という感じだろうか。
エンジンもスムースな中にゴリッしたトルク感を感じるのが'06。ゴリッといっても決して悪い感触ではなくむしろ逆。どちらも確かにR1なのにこんなにまで違うのか…、と2周の試乗の間ほぼ呆然としたまま走ってしまった。
しかし降りてから考えるに、どちらが良いかは何とも悩ましい。性能としては'07モデルの方が上なのはもちろん当然。車体も全体に2%くらいキュッと凝縮した感じで、走りを追求して行く中で応えてくれるポテンシャルは間違いなく高いだろう、僕のレベルではとても分からないのだけれども。
でも'06モデルにはストリートマシンとしての優しさ…みたいな物がより多くある気がする。自分みたいな殆どが一般道をツーリングで走る様なユーザにとっては、恐らくシチュエーションの90%を占めるであろう一般道を流している位の状況ならば、絶対こちらの方が気を遣わず走りやすいだろうと思うのだ。
そしてそうした部分はファクタとしてすごく重要だと思う。'07'は07の、'06の'06のベクトルの違いというか、とにかく比較にならない面をこの2台は持っている。
 だから大阪でのあのオーナーさんには「全然'06の魅力は色褪せていないですよ!」と言いたいと思いました。
左:左が'06モデル、右が'07モデル。これでカラーリングが同じだとパッと見区別できないかも。
右:東日本、西日本みたいな会場だとまた感想は大分違ってくると思いますが、取り敢えずここではどちらも気持ちいい走りでした。

試乗を踏まえた実りある考察は全て水泡に帰す…

さて目的はほぼ達成したが乗っていないマシンがある。YZF-R6。どう考えたって、いや考えなくても取材の足には向かない超が付くほどのピュアスポーツ。何しろヨーロッパじゃツーリングなどで使うユーザに向けては先代のYZF-R6が継続して売られているほど、スポーツ性能に特化されたマシンなのだ。
でもこれだけスポーツモデルを端から並べて乗ったのだから最後にR6にも乗っておくか、順番待ちの列も少ないみたいだし、と軽く考え跨がったのが間違いだった。
ブラケットを換えて絞り気味のコンチハンドルにしたFZ1とか、ビキニカウルを付けたFZ6 S2とか、何なら'06 YZF-R1も候補にできるよな〜とか"実用本意で"考えていたアタマの中は、この2周の周回の間に全部吹っ飛ばされてしまった。
サーキットでの試乗と云うちょっとリッチな環境であったことは明らかに影響していると思う。一般道ではそんなに伸び伸び走れるわけではないのも充分承知しているつもりだ。足付き性だって僕にはかなりキツイし、姿勢もキツイ。そもそも荷物が全然積めない。繰り返すまでもなく取材車にはどこからどう見ても向いていない。
でも、でもこれは…、実に気持ちのいいマシンだ。伸びやかでパワフルなエンジン、キレ味の良いハンドリング、ポジションも身体に馴染む(あくまでサーキットでだが)。こんな言葉ではとてもではないが言い表せないけれども、はっきりしているのは「R1とは違う」ということ。スーパースポーツでありながら間口の広さを持つ、ああいう感じを微塵もさせないストイックさ。全てがコトッと嵌まったように感じた。
YZF-R6に乗ったことを今猛烈に感動しつつ後悔もしている。自分で金を出して乗るのだから、やはり乗って気持ちの良いマシンがいい。荷物の積載性とかもぶっちゃけどうでもいいんだ、トラックを買うんじゃないんだから…とさっきまでの堅実な考えは完全に崩壊してしまい、取材車選びは振り出しに戻ってしまったから。
自分の気持ちに素直になればR6なのだが…、いやそんな選択肢はあり得ないだろう?と試乗会以来自問する日々なのである。
左:先割れスプーンみたなカウル、などと悪態をついていたのだが、今はひたすらカッコイイ。
右:これ買っちゃって取材に苦労するのは目に見えているもんなぁ…。