1998年、インターモトで発表されて以来、先進技術を積極的に採り入れながらひたすら真っすぐに理想の走りを追い求め続けるYZF-R6。さらに磨きがかかった2009年はスーパースポーツ世界選手権のシリーズチャンピオンに輝いている。
ボア×ストロークを67.0mm×42.5mmのショートストロークで圧縮比を13.1に設定した水冷4ストロークDOHC並列4気筒・4バルブエンジンは、ヤマハの技術思想ジェニック”(G.E.N.I.C.H.)によりマン・マシン・インターフェイスを具現化した電子制御スロットルYCC-Tと、回転数・スロットル開度に応じファンネル長をロング/ショートに切り替える可変吸気管長機構YCC-Iにより電子制御される。
高性能素材を用いて形状も最適化されたクランクシャフト、コンロッドの軸受けベアリング、優れた疲労強度を保つ素材を用いたバルブスプリング、表面処理によって優れた硬度を確保したカムチェーンなどを用いることで高回転化に対応して優れた信頼性を獲得、サーキット走行で絶妙なギア配分を生むクロスレシオ6速ミッションのセッティングと相まって、中低速トルク向上と高回転域でのさらなるパワー感によるパワフルで扱い易い特性を引き出している。
またクランクシャフト・メインシャフト・ドライブシャフトの3軸配置をフレームとの相互位置関係から最適化することで、ヘッドパイプ・ピボット・リアアクスルを結ぶマシンのロール軸に沿う直線的なフレーム形状に貢献している。
このほか減速時など後輪側からクランク側へトルクがかかった際のリアホイールのホッピングやロックなどを防止し、コーナーリング時の姿勢制御を助けて滑らかな進入性を引き出すスリッパークラッチ、コンパクトなラムダセンサー付き三元触媒内蔵のミッドシップマフラー、排気管内の排気脈動を制御して吸排気効率アップを図る軽量・コンパクト設計のEXUP(エグザップ)など、全身に満たされた新技術の熟成が図られている。
なお2010年モデルではサウンド特性と環境性能を更に追求し、マフラー形状の変更が行なわれた。
金型鋳造&プレス材のハイブリッド構成のアルミ製デルタボックスフレームは、新素材を用いて強度バランスの最適化が図られ、旋回中の剛性バランスと操縦安定性の向上が図られている。
リアフレームにはヤマハ独自のCFダイキャスト技術を発展させたCFマグネシウムダイキャスト技術により、量産二輪車初となった一体鋳造型のマグネシウム合金製として、車体のマス集中化を実現している。
このほか剛性バランスの最適化が図られたフロントフォークやリアスイングアーム、アルミ鍛造製アンダーブラケット、軽量リアサスペンションブラケットなど、細部にわたって熟成がはかられている。
『マス・フォーワード・ムーブメントとミニマムイメージ』をキーワードとして性能の進化を反映した「サイドパネル上端とタンク天面の造形がフロントへ向かう躍動感、そしてフロントの接地感を視覚化する造形デザイン」は、YZF-R6のアイデンティティを強烈に感じさせる特徴となっている。